第27話
「すごく、豪華な料理……こんなの食べたこと無い」
食堂へ入ると既に何人かの側仕えたちが食事の準備に取り掛かっており、一部の料理がテーブルの上に並んでいた。
「ふふっ、そのセリフを聞くと先日の食事を思い出すわね」
凛歌の言葉を聞いたお母様は私の方を見て、ニコニコしながら言った。
……嫌な予感がする
私の予感は的中し、お姉様までもが話に入ってきた。
「奏歌も家に戻ってきて最初の食事の時に、今凛歌が言ったことと全く同じことを言ったのよ。さすがは双子ね。あ!奏歌なんてね、この他にも____」
「お姉様!」
「どうしたの、奏歌?何かあったの?」
「あの……これ以上は、やめてください!」
私はこれ以上恥ずかしい話を凛歌に聞かれないように、お姉様に反論した。
そんな私とお姉様のやり取りを見て、お母様が笑っている。そして凛歌も。
それに気づいた皆が内心ホッと安心したのが分かった。
そんなやり取りをしている間に側仕えたちが給仕を終え、壁際へと下がっていった。
そのことを確認したお母様が食前の祈りを唱える。私たちはそれを復唱し、食事が始まった。
マナーに気を配らなければいけないので、最初のころは緊張していた食事も最近ようやく余裕を持って楽しめるようになっていた。隣に座っている凛歌も最初は緊張していたようだが、食前のやり取りがあった為か、そこまで緊張している様子もない。普通に食事を楽しめているみたいだった。
夕食後、私と凛歌はお姉様の部屋に招待された。
お姉様の部屋に入るとソファに座るように言われた。私の向かい側にお姉様が座り、凛歌は私の隣に座った。
「今日集まってもらったのは姉妹の親睦会をしようと思ったのと、これからの予定を話しておこうと思ったからなの」
ということで、これからの話をする前に、まずはもう一度、お互いに自己紹介をすることになった。
「私は瑠歌。知っての通りあなた達の姉で、この高星家の当主をしています。ソリーナ女学園高等部3年生で、生徒会長もやらせていただいています。趣味は華道や茶道で、特技は琴です。……私の紹介はこのくらいにして、次は奏歌ね」
「は、はい。えっと……奏歌です。中学3年生です。特技は……前の学校の部活でやっていたトロンボーンです。あとはバイオリンも一応弾けます」
私が楽器の演奏ができると言うとお姉様は少しだけ驚いていた。
「トロンボーンにバイオリンも弾けるなんてすごいわね。家の防音室に楽器があるから、もし良かったら好きに使ってね。そしたら……最後は凛歌ね」
「はい。……凛歌です。中学3年生です。一応、私も前の学校の部活で楽器を吹いていました。担当楽器はトランペットでしたが……。バイオリンも弾けます」
なんと凛歌も前の学校の部活で楽器を吹いていたという。さすが双子。部活までシンクロしていたらしい。さすがに楽器は違ったが、金管楽器というくくりとして見ればシンクロしていると言える。
このことにはお姉様も驚いている。
「そうなのね。二人とも楽器の演奏が出来るのね。ソリーナ女学園では音楽の授業は貴族の嗜みとして必修になっていて、楽器は自分で選べるようになっているの。心配点の1つだったのだけれど、バイオリンが弾けるのなら心配は要らないわね」
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