第28話
「で、ここからは真面目な話よ。奏歌には前にも話したのだけれど凛歌と奏歌、2人とも揃ったから他家の貴族の前で2人が高星家の一員だということをお披露目しなければならないの」
今お姉様が言った通り、私はこの話を前に一度、聞いている。お披露目が終わった後のことなど詳しい話などはまだ聞いていないけれど。
「お披露目は一週間後を予定しています。それに伴い、2人には明日から挨拶の作法や、テーブルマナーなどを身に付けてもらいます。2人共基本が出来ているので大丈夫だと思いますが、厳しくやりますよ」
「が、頑張ります!」
「……頑張ります」
「それともう一つ。急な話だけど明日から凛歌にも学園に通ってもらいます」
「⁉︎」
お姉様の言葉を聞いた瞬間、凛歌が固まったのが分かった。凛歌は恐らく男性恐怖症のことを危惧しているのだろう。それに今日この家に来たばかりなので家の事すらまだあまり知らない状況だ。心配になる気持ちも分かる。
「お姉様、学校はまだ……男の人もいるし……」
「その事だけど、女子校だから男の人は一部の先生だけだから大丈夫だと思うわ。クラスも奏歌と一緒よ」
「奏歌と……頑張ります」
私が生徒会長だしね。とお姉様が付け加えて言うと、凛歌の顔はさっきまでの心配そうな表情から幾分か安心した表情に変わって いた。
「お姉様、学園での凛歌の苗字はどうしますか?」
「苗字?高星ではないのですか?」
「まだ凛歌には言っていなかったわね。奏歌には、高星家の人間だということが周りの人に分からないようにする為に、“高崎”の姓を使ってもらっているの。……当初の予定だと凛歌にも今まで使っていた“立石”を使ってもらうはずでしたが、奏歌とここまで顔が似ていたらさすがに双子だと分かってしまうわね」
お姉様はそう言うと私たちの筆頭側使えたちを交えて話し始めた。途中、お母様へ使いを出したりしながら話し合っていた。それから暫くすると話し合いは終わった。
「話し合いの結果、凛歌にも奏歌と同じ“高崎”の姓を使ってもらうことになりました。お母様からも許可を貰いました。綾沙には私から伝えておきます」
「“高崎”ですね?分かりました」
凛歌が使う苗字を決めた後は、綾沙様について凛歌に説明したり、姉妹の契りのこと、家族について聞かれた時の答え方についての話をした。
話し終わることには凛歌の緊張も解け、私とお姉様の前では普通に話せるようになっていた。
「それでは明日も朝から学校ですし、今日の親睦会はここまでにしましょうか。」
そういえば、お姉様は明日の朝、生徒会の仕事があると言っていた。
もう時間も遅いということで、親睦会はお開きとなった。
最後に凛歌と2人でお姉様に「おやすみなさい」と挨拶をし、部屋を出た。
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