第24話

私たちが玄関へと移動した移動すると、丁度お姉様が帰宅された。ちなみに普段はお母様は見送りなどしないそうで、お母様が玄関に居るのを見てお姉様が少し驚いていた。



「今日は来てくれてありがとう。綾沙、学校で何かあったら瑠歌や奏歌のことを頼ったり、助けてあげて頂戴」


「はい、華蓮様。瑠歌様、奏歌様また明日、学園でお会いしましょう」


「はい」


「綾沙、明日は生徒会で手伝って欲しいことがあるから少し早めに登校してちょうだい」


「手伝いですか?分かりました。少し早めに登校しますね」


「それでは失礼させていただきます」



沙羅様がそう言って馬車に乗り込んだ。綾沙様も私たちに一礼をしてから馬車に乗った。2人が乗ると馬車は出発した。


2人が帰ると、お母様はすぐに部屋へと戻られたが、私はお姉様に誘われて玄関前に広がっている庭園を散歩することになった。



「奏歌、学園は楽しいですか?」


「まだ少ししか慣れていませんが、楽しいです」


「友達は出来た?」


「はい!下谷瑛良さん、浅木和葉さん、北澤柚希さんの3人グループに入れていただきました」



私が名前を挙げるとお姉様は少し考え始めた。少し経つと思い出したように言った。



「その3人は高星家に仕えてくれている家系ね」


「そうなのですか⁉︎」



なんと、瑛良と柚希の姉はお姉様の側近、3人の母はお母様の側近なんだそうだ。



「本人たちもらって卒業後は専門の教育を受けて、高星家に仕える予定だったはずよ」




キィィィィ‼︎



お姉様と話していると突然、急ブレーキをかけたような音が聞こえた。音のした方を見てみると、門の前に1台の馬車が停まっていた。

その馬車の馭者が門番に何かを告げた。すると、門番はすぐに門を開けて馬車を通した。


訪問予定のない馬車が中に入って来たのを見た私とお姉様の護衛が私たちを守るように前に出た。そして、いつでも剣が抜けるように柄に手をかけている。



「何かあったのでしょうか?とても急いでいるようだけれど」


「綾沙様たちが何か忘れ物をなさったのでは?」


「綾沙に限ってそんな事はないわ。第一、忘れ物くらいではあんなに急いだりしません。とりあえず行ってみましょう」



お姉様に言われ、少し急いで玄関へと向かう。

玄関に着くとそこには男性が2人居た。多分だけど主人と護衛っていう関係だと思う。


護衛たちが警戒している中、お姉様が2人に声をかける。




「どうかなさいましたか?」


「私たちは急ぎの要件で瑠歌様を訪ねに来ました。瑠歌様はいらっしゃいますでしょうか?」


「私が瑠歌ですが」


「貴方が瑠歌様でしたか。挨拶や訪問の知らせも無しに訪ねてしまったことなどご無礼をお許しください」



男はお姉様が瑠歌様だと知り、最初は驚いている様子だったが、すぐに真剣な表情に戻り話始めた。



「それで、用件は?」




「はい。実は……凛歌りんか様をお連れしました」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る