咎負いのZERO

　決して自分を許せないことがある。

『咎負い』

　自分自身を殺したくなるほどの罪、すなわち咎を背負ったものがあるときから不思議な力を持つようになった。
　だがそれは施しなどではなく、罰であることは明らかだった。
　なぜなら、咎負いの力は本人の咎をさらに深めるような力ばかりが発言したのだから。

　食人の咎を負ったものは、人を食らいたくなる獣となる力を、
　盗み見の咎を負ったものは、あらゆる出来事を見てしまう力を、
　暴露の咎を負ったものは、真実を引き出してしまう力を、

　超常的な力を持った彼らは、しかしただの一人としてその力を喜ぶものはいなかった。
　彼らは今も社会の影で身を伏せながら生きている。


　喧嘩三昧の不良高校生、直路木　令（すぐろぎ　れい）は、あるとき滝澤　一乃（たきざわ…続きを読む