Rev.3
木造の教室の中で、教師の発話とノートを取る音だけが響いている。時折他の生徒のいびきが聞こえてくるが、教師はそれを無視して淡々と説明を続けている。学校の授業というのは退屈な物だとつくづく思う。教師の間延びした説明を欠伸をしながら聞いていた。
欠伸が終わった瞬間、正にその時、俺は、この世界がもう少しで滅びる事に気付いた。理由は分からない。だが気付いてしまったのだ。
『もうこのモノローグ要らないでしょ。これだけで184文字、約2割使っているのよ。』
謎の声が俺の頭の中で響く。そもそも冒頭の流れは自分自身理解しているはずだ。これで彼此3回目。謎の声の言う通り、わざわざ改めて確認する必要性は無い。だが何故俺は俺が理解している事を繰り返しているのだろうか。そう考えた時に、俺はある事に気がついた。
文字数制限、説明、俺以外の誰か。
それは恐ろしい仮説である。即ち、この世界が作り物、具体的に言えば小説の中の世界だと言う事だ。そうすれば、期限が文字で区切られている事、冒頭に状況描写が入る事に説明が付く。逆にそれ以外で説明が付く仮説が見当たらない。単に俺の頭が悪いだけかもしれないが。
『まぁ、確かにその可能性は高いわね。私の脳裏に浮かんだ"1000文字"という期限もそれで説明が付く。という事は私は神の視点を理解出来る立ち位置ってことかしら?』
文字数の制限を理解している点から言ってその可能性が高いだろう。俺には今何文字目か分からない。お前には理解出来るか?俺は脳内で語りかけた。
『これで大体650文字よ。"。"までで659文字、空白・改行込みでね。ああ、今680文字超えた。』
分かったもう喋るな。
『そういう訳にはいかないでしょ。あなただけで全部解決出来るの?』
そう言われると自信は無かった。どうすればいいのかも分からない。創作物の中の住人がそれに気付いたところで何が出来るというんだ?そもそも何で滅びるのか、それすら分からないのだから。
『物語が滅びる理由・・・例えば没になるとか?』
没、つまりゴミとして捨てられる。確かに物語が滅びる理由としては考えられる。物語が円満に解決すれば途中で終わる必要等無いだろうからだ。
仮に没になるから世界が滅びるとしよう、だが何が理由で没になるというのか。その考えに至った時、俺の脳裏に前回の疑問が再び浮かんだ。
俺の名前はなんだ?
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