エピローグ

デウス・エクス・何たら

 一通り書き終えたところで、私は指を休めた。そしてほっと安堵の息をついた。漸く終わった。後は推敲して提出して終わりだ。というところで私の頭に声が響いてきた。

『終わりがクサすぎない?』

『その、さぁ、モノローグとはいえ言ってて恥ずかしかったんだけどさぁ、あれでいいの?』

 声子と明太郎が口々に文句を言ってくる。良いんだと自分に言い聞かせながら私は言う。これで十分綺麗にオチているのだから。二人は恋にオチて、話もオチた、ってね!!Hahaha!!

『つまんない冗談やめなさいよ。』

 その声は極めて冷徹であった。はい、すみません。書き上げた達成感で少々ハイになっていたようである。

『ところでこの話って、結局、俺達が資料館にあった槍を見つけて神を呼び出して終わりっていう話だよな。』

 その通りだと私は言うと、明太郎は考え込むように言った。

『普通すぎない?』

 私は沈黙した。ぐうの音も出なかった。その通りである。

『ちょっとしたドラマはあった気がするけどフツーだよねフツー。もう一捻りあった方がいいんじゃないか?』

 簡単に言ってくれるが、既に書き終えた後に一捻りというのは難しい。プロットを考え直して根本から書き直した方が早いケースもある。そのレベルになってしまうと私は泣いてしまう。

 その時、ふと思いついた。じゃあこの一連の流れも含めて作品に組み込むか、と。

『はい?』

『どういう意味だ?」

 つまり、作者たる私と、君達の会話も含めた一連の作品とするのだ。新しいだろう。ジャンルが根本から変わるがまぁ止むを得ない犠牲と言える。

『待て待て待て待てそれはどうなんだ作品として。メタフィクションってかなり反感買わない?』

 往々にして後からバラすから反感を買うケースを見かけるので、最初からそう謳っておけば大丈夫だろう。

『それだとオチが付かないじゃない。最後に「これは作中劇でしたー」ってなるからオチになるのであって、最初から作中劇って分かってたらメタオチには出来ないでしょう?』

 一連の流れと言っただろう。つまり君たちの活躍を考える私の試行錯誤を一つの物語とするわけだ。故にメタオチというわけではない。綺麗な物語に出来るかどうかが主題となるわけだ。

『受けるの?それ。』

 明太郎が極めて強烈な一撃を加えてきたが、もう締め切りは間近なのだ。ここから大幅に書き足すのであれば、一から書くのではなく、自分の経験を書くしかない。となればこの路線で行くしかないのだ。私は二人の不平不満を無視して書き出した。

『ダメだこりゃ。面白さより締め切りを選びやがった。』

 何とでも言うが良い。今の私は何よりも締め切りを優先するのだ。それ以外は考慮しない。

『まぁ、それで面白くなればいいんだけど。』

 きっとなる。いやするのだ。そう自分と彼らに言い聞かせるように念じながら私は打鍵を続けた。執筆中にボツにしたものや、睡眠中に更新されていた不思議なファイルも含めて全て取り込んだ。それが実際に起きた出来事なのだから、組み込んだ方が良いだろう。


 そうこうして、何とか書き終える目処が立った頃、画面の端に何かのポップアップが表示された。メッセージが届いたのだ。

『締め切り一分前です。直ぐに送信して下さい。』

 担当からの連絡であった。まずい。もう時間がない。もう少しだというのに。

『送る、送るからまってくれ。』

 そう返すと指を動かす速度を無理矢理上げる。急げ、急げ、もう時間はない。

 一通り書き終えると私は軽く、本当に軽く推敲し、急いで保存し、それをメッセージへの返信として送信あああもう時間がな




 うん、これで1500文字。

 キリがいいしこんなものかしら。じゃあ更新、と。

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世界滅亡まで後1000x文字!!(空白・改行込み) 明山昇 @akiyama-noboru

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