Rev.5
確かに俺はRev.1から3までで「間延びした説明」って言った。それは認めよう。しかし、幾ら何でもあんなに伸ばさなくてもいいんじゃないのか。俺は先刻のループ前に起きた事を思い出しながら落胆に暮れた。
『あれがやりたかっただけじゃないの、作者が。』
天の声が恐ろしい事を言ってくるが、そうで無い事を祈りたい。
しかし先程のループで一応一文字見えた。ということはやはり一応決まっているということだ。きっと。という事で四が付く苗字からいくつか考えてみる。四方、四宮、四谷・・・どれも違う気がするが、敢えて言えば四方しほうの響きが近いような気がする。そして、友人と名前について会話した時、「お前が創作するとしたら、絶対あのジャンル書くって名前だな」と言われるようなものだった気がしてきた。
『四、創作、ねぇ。・・・創作で四っていうと、四枚目とか、第四の壁、なんてのを聞くことはあるけど。』
四枚目は確か演劇で三枚目の次、中堅役者か何かだったと思う。それは調べた事があった。だが第四の壁とは聞いた事が無かった。
『なんでこっちを知らないのよ。・・・元々は舞台の用語で、舞台と観客席の間にある壁の事だったはずよ。』
そこに壁はないだろう。
『ないわね。でも見えない壁は存在するでしょう?基本的に、演者は観客に干渉しない。目の前に壁があるようにね。それが第四の壁。観客と演者を隔てる見えない壁。テレビの液晶みたいなものよ。』
なるほど、ようは創作物と現実との境界線のようなものか。だがそれが関係するジャンルとは何だろうか。
『パッと浮かぶのは、メタフィクション、かしら。普通は第四の壁を意識せず、それを破らないように物語って進行するでしょ?それを敢えて破る、例えば「視聴者の皆さんはどう思いますか?」みたいに、観客に問いかけるものもある。そういうのがメタフィクション、自身が創作物の人間だと認識しているフィクション作品ね。』
今の自分達みたいだな、と俺は思った。自分達が1000文字で滅びる事を認識している、つまり文学作品中の人間であることを認識している。
『まさにそうね。』
ふむ、しかしそれが本当に関係するのだろうか、と記憶を漁ってみると、確かにその単語には聞き覚えがあった。第四の壁とメタフィクション、親がそれが由来だと言っていた気がした。
「・・・しへき・・・めた・・・めいた・・・」
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