第11話 吉本ホール

あれっ、龍虎先生!

なぜか俺と並んで龍虎先生が歩いている。

( ここってどこだ? … なんか渋谷みたいだなあ? )

「こっちだよーシゲゾーさん」龍虎先生が俺の手を引っ張ってる。俺は先生に誘導されるようにして、無限大のマークがある建物の前に連れられた。

建物の正面の壁には、無限大のマークと一緒に吉本ホールと、誰でも分かるように大きな文字盤で装飾されていた。

「ああっ! ここって、吉本笑業の吉本ホールじゃないですか! 」

俺がちょっと驚いてるのに先生は平然と

「そうよ。若さを保つには、笑いは不可欠なんだから。さっ、早く入りましょう! 」と言って、またもや俺の手を引っ張っていく。


中に入り並んで席についた俺の横で先生は、俺の手を握りながら、

「シゲゾーさんの手、あったかいね。ボク、ずっと握っていたいな」

「うん。まあ、でも恥ずかしいですよー」俺はそう言いながらも、優しい気持ちに包まれているようで心地よかった。


ジリリリリーリーリリーン

その時、開演の合図にしては、うるさ過ぎるぐらいのベルの音がした。

" 起きろー! きょうは特別な日だぞー! 起きろー! ジリリリリーリーリリーン

起きろー ! "


なんだ、なんだ! と思った瞬間、目が覚めた。

俺は、いつもの自分の部屋にいた。

「あっ! そうだ! 今日は研究会に行くんだった」俺は思わず声を出して飛び起きた。

( こんな夢をみるなんて、俺、先生のことを好きになったのかも…

ええー! 先生は男だぞー! )

第11話 終わり

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