第2話 違和感
そうこうしてる内に職場に着いた。アクシデントがあったが就業5分前の8時25分に仕事に就くことができた。
俺の職場は東京の
21世紀になってからすでに20年が経とうとしているが、いまだに自動運転車は実用化されていない。昔のSF小説では、バリバリにそういった乗り物が走ってることになってたんだがな。俺は、ここで週3日だけアルバイトとして働いている。
今のガソリンスタンドは、セルフ給油が大勢を占めていて、俺たち店員は給油中の車のタイヤとかエンジンルームを客の必要に応じてチェックするのが仕事だ。
店員と言ってもマネジャーと俺ともう1人、30歳になる社員の3人だけだ。
俺は遅刻ギリギリで来たんで、すぐには気がつかなかったんだが、俺より20歳は若い社員の髪の毛がふさふさになってたんで、驚いたんだ。というのも彼は若ハゲでカッコ悪いからと、いつもは丸刈りにしていたからだ。
おととい見たときは、確かに丸刈りだったのが、たったの2日でふさふさになっていた。カツラでもするようになったとしか思えない。それで、俺は思った通り言った。
「いっちゃん、急にどうしたん? カツラなんかしてさ」
そしたら、
「カツラじゃ、ないっすよ! 地毛ですから! 」と彼はムッとした表情で言った。
その返答に俺は思わず
「えー! 今までずっと丸刈りだったぞ。しかもなんだか20歳ぐらいに見えるし、
いつものいっちゃんと全然違うぞ。狐につままれたのか俺は! 」と叫んでしまった。
すると、いっちゃんと呼ばれている市村社員は、
「まだ寝ぼけてるんじゃないですか? 」と言って、もう俺の相手をしたくないといった表情であっちへ行ってしまった。
俺は呆然と立ち尽くした。
(何かが変だ。いや、今日は朝から厄日なのかもしれん)
と頭の中で雑多な思いが渦巻いてしまった。そして、どうしても定着するかのような疑問が離れなくなった。
(何かが変だ。事故った時からかな? )
第2話 終わり
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