第41話 地下工場での徹夜作業

 俺たちは、まず腹ごしらえをピザの出前ですませたあと、早速ミラクル研究社の地下にある研究室兼工場に案内された。


 そこは、想像以上に広かった。社屋は3階建ての元々が2LDKの部屋が1フロアに8戸ある建物を改造したものなのだが、地下の工場は奥行が建物の倍ぐらいになる広さだった。天井も4メートルの高さになっていた。

 その中央あたりに車とは違い、ホバークラフトのような乗り物があった。

 博士は、これはまだ外観が出来てるだけで、ゆくゆくは異次元への移動に使う異次元マシンのボディーになるはずだと説明した。

 そして、ホコリを完全にシャットアウトしている無菌室のような広さ5メートル四方ぐらいで高さが2.5メートルぐらいの隔離された感じの部屋を指差して、ここで超集積回路や半導体部品を作るのだと言った。


 そことは別に大釜のような形の密閉された容器に4方向からのパイプが接続されたものや、さらに小型の密閉容器が、8個ぐらい順番に連結されていたりする装置があって、博士は制御パネルを何通りかにセットして、装置を動かした。

 俺は博士からこのパネルのゲージが常に中央を指すようにパネル右側にある長さ20センチぐらいのレバーを微調整するように指示された。

 それが、イレブン・ナインの単結晶シリコンを作る装置だった。俺は1時間かけて、なんとか100グラムのイレブン・ナインを製造できた。


 俺がそうしてる間にも龍虎先生やヒダリンたちが、工場の別の場所で回路の基盤になる部分の製造プログラムを博士から渡されたプログラムリスト通りに入力していた。


 博士は、自分の研究成果を元にイメージスクリーン・システムに送り込む脳波の波形モデルが正しく映像化されるか、何度も試行錯誤のテストをくりかえしていた。そこが、最も厄介な所だった。モデルの数が多く、一人では間に合わないので、翔青も手伝っていた。


 これらの作業は、1時間置きの休憩を取りながら、途中から俺も博士の作業を手伝うようになった。


 そして、夜も白み始めた頃に、ようやく装置の最終組み立て作業に入り、朝の8時までかかって、イメージスクリーン・システムが完成した。


 全員、疲労困憊こんぱいで、昼前までみんなその場で眠りこけてしまった。

 実は、ここからが異次元移動における謎への挑戦が始まるのだが……


 第41話 終わり



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