見えないけど見える人が見えない
祖母の知り合いには不思議な人がいる。
その人は目が見えないのだが、視力以上の能力を持っていたらしい。
どんなに雲一つなく、天気予報で晴れだと言われていても、その人が「雨が降る」と言うと、たちまち雨天になったという。
鳥や虫が低く飛んでいたのが見えている訳でもないのに、である。
もしかしたら、雨の匂いを察知していたのかもしれない。
他にもその人の能力に、「美人が聞こえる」というものもある。
足音を聞くだけで、その主が美人かそうでないかわかるのだという。
曰く、「不細工なやつの歩き方は違う」らしい。
自分に自信が持てないと、足音にも反映されているのだろうか。
歩き方には気をつけようと思った。
ただ残念なことに、その人は私の生まれたときにはもう祖母とは疎遠になっており、写真一つ残っていない。
できることなら、その人をこの目で一目見ておきたかった。
いったいどんな顔をしていたのだろうか。
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