ここが変だよ日本語

 肩叩きは「た」の、

 獅子身中の虫は「し」の、

 心ここにあらずは「こ」の使用過多だ。

 湯水のようにおんなじ文字を使っているので、もうちょっと遠慮してほしい。

「た」「し」「こ」が使いたくても使えない世界中の子どもたちもいるんですよ。

「津」とか「火」みたいな一文字しかない言葉にお裾分けしてあげたらいいのに。



風車ふうしゃ」と「風車かざぐるま」は字面がまったく一緒だ。

 ルビがなければどっちがどっちなのかぱっと見で判別がつかない。

 もし風車かざぐるまの弥七が投げ飛ばしたのが風車ふうしゃだったら町は半壊状態で悪人も黄門一行も下敷きになり、いきなり話が終わってしまう。

つらい」と「からい」に至ってはもっとたちが悪い。

 どちらもつらいことに変わりはないので読み間違えても成立してしまう場合もある。

 カレーの辛口つらくちは苦い人生の味になり、誰も好んで買わなくなるだろう。

 以上を踏まえて、風車と辛いには、きちんとした区別を要求する。

 風車ふうしゃは都心のマンション、風車かざぐるまは地方の安アパートで別々に暮らしてもらうのがいいだろう。

 からいはマンションの一階、つらいは同じマンションの最上階に住んでもらう。

 そうすれば単語を使う際に訪れる部屋が違うので、我々も間違える確率がぐっと減るに違いない。

 何事も住み分け、譲り合いは大事なのだ。

 それが日本文化のいいところなのだから。

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