最後の最後の晩餐

 人生で最後に食べたいものは何かを真剣に考えた結果、みんなでシェアしているクッキーの最後に残った一枚など、手がつけづらいいろんな食べ物を集めて堂々と食べてみたいと思った。

 死を目前にした私の前に大皿が置かれ、最後の一つとなったクッキー、ポテチ、ピザ、餃子など、ありとあらゆる「残り物」が盛りつけられている。

 良識のある生者は手を伸ばすのを躊躇うかもしれないが、こちとらもう死ぬ寸前なので遠慮なく食べられるという寸法だ。

 様々な最後の一枚、最後の一切れを胃の中で繋ぎ合わせ、フランケンシュタインの怪物のような食物パッチワークが私の内で産声を上げる。

 そこでようやく最後の最後の晩餐は完成し、私の人生も役目を果たして終わるのだ。

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