あなたは幽霊を信じますか?

 神と並んで信じるかどうかを問われる機会が多いのは幽霊だと思っている。

 かくいう私も現に何度かこの手の話の水を向けられたことがある。

 身も蓋もないことを言えば信じるか信じないかは個人の自由だし、さらに益体もないことを言わせてもらえれば正直なところ、非科学的で信じてはいない、というのが本音だ。

 ただし、あくまでも実在を信じていないのであって、存在自体は大いに認めている。

 いくつか私の小説を読んでくださった方から見れば、私がオカルト方面に興味があるのはわかっていただけるだろうか。

 私は妖怪も幽霊も都市伝説もUMAも大好きで、彼らの図鑑や事典を眺めては浪漫な思いを馳せている。

 UFOや宇宙人を例に出せばわかりやすいかもしれないが、好きだからといって必ずしも実在していると信じているとは限らない。

「いるかもしれないな」「もしいたら面白いな、怖いな」と価値観を共有し合って盛り上がるためのツールとして役目を果たすことこそが大事なのだと思う。

 むしろ、それらの非現実超常存在は、実在していないからこそ魅力的なんじゃないだろうか。

 個人的に幽霊を信じていない一番の理由は、もしそんなものが終始自分の周りにいたら気が休まらないから、という身勝手な感情から来ている。

 自分の部屋にいるときくらい一人でいさせてくれ、自分が読書しているときはページを独り占めさせてくれ。ほっといてくれ。そっとしといてくれ。見ないでくれ。

 つまりはたったそれだけのことだ。

 実際にいる分はしょうがないが、もしそうだとしても私は彼らを認めず、全力で目を逸らすに違いない。

 そして私のわがままはこれだけに収まらない。

 あまつさえ、自分が死んだあとは幽霊になってみたいとすら夢見ているのだから。

 結局、信じるか信じないかよりも、自分の主観と都合の方がかわいいのだ。

 というわけで、もし幽霊が実在したとしたら、私は死んでようやくそのことを受け入れて、しれっと彼らの輪の中に加わろうとするのだろう。

 もっと欲張れば、映画館の中の地縛霊になってのんびりと映画を無料で楽しんでいたい。

 チケット代は払わないし、払えない。

 そのときの私にはきっと、御足がないだろうから。

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