【ver.4】Parts:027「エピローグ」



 ――「トイトイ・マーベラスカンパニー」製品開発室。


 「ほらほら、明野夜さん!!しっかりしないと。あなたの旦那さんを越せないわよぉ!!」


 「はひぃ、勘弁してください!!まだまだ、社会人としてそんなに経ってないじゃないですかぁ!!」


 「もー、どうして私じゃなくって、あなたなのよ……もしかして『興造さんはロリコン』って言ったの、結構本当に当たってたのかしら?……くぅ、アンチエイジング、もう少し頑張ってれば良かったわ!!」




 新米社員つぐみと、代表取締役社長 雲雀(ひばり)。つぐみは興造の研究を越える、素晴らしい製品を造ると奮闘し、敢えて雲雀の元に飛び込んで行った。




**


 「あーあ、のそちゃんにまた会いたいなぁ。あけちゃんだけだよなぁ!のそのとこに行ってんのも!!」


 「健はどうせ、美紅ちゃんと結婚するんでしょ?……私だけだよ。独り身なのは。あーあ、誰かいい人いないかなぁ……」




 「大金を背負って警察署に出頭した青年と、それを見送った少女」の話のエピローグ。


 二人は、今日も投獄生活の過酷な支え合って生きていたのだった。




**


 そして……。


 鏑木工業大学、機械総合学部研究室。一つの額が興造の研究室に加えられていた。それは「Qualia(クオリア)プロトタイプ型Type-one」を大学に研究材料として寄贈したことにおける、表彰状だった。


 四半世紀で類を見ない、自律式感情型ヒューマノイドロボット。それがQualiaだった。プログラムリセットされたQualiaは、まるで幼子のように笑顔を振る舞い、多くの学生を楽しませていた。消失した「ソクラテスのネジ」。興造はその真相を、未だに知らない。




 「『クオリアロス』……流行るかなぁ?いや、僕とぐみちゃんの間だけだな。いや、拓雄くん?お袋とか?まてよ?まだまだ他にも『クオリアロス』の奴は居そうだなぁ」


 パソコンのCADに向かい、ぶつぶつと呟く興造。四十代もまだまだ盛り。「宇宙開発機関・ペンタグラム」の研究職員に負けてはいられないと、奮起しているのだった。




 興造はまだまだ研究を続ける。人々に夢を与える為に。そして、助けるために。


 彼は、ロボットが好きだった。もうこれ以上ない位に。そんな形容しがたいような愛情を胸に、今日も眠らずに研究を続けていくのだった――。




――終わり。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る