第3話 付き合う事、別れる事
大学二年生の夏ごろだろうか? 主人公はサヤちゃんに告白をされる。当然、主人公はそれに対して二つ返事で承諾をしたのである。お互いを好きになるという事はとても素敵な事である。言葉にして説明するのがまぁ非常に難しいのだが、なんだろう、多分ランナーズハイみたいな物がずっと続くような幸せな気分になっていたと思う。
サヤちゃんは分からないが、主人公は日々届くサヤちゃんからのメールに一喜一憂していたものである。
いろんな所に遊びに行った。時にはバイクで、時には車を使い。
例えば、大阪や神戸に行くよりも遠い、同じ市内の西宮塩瀬方面にある本格讃岐うどんの『鰯屋』へ出向いた時の事を語りたいと思う。
それは有料道路を使い、カーナビがないので携帯で地図を調べながら向かったうどん屋さん。駐車場は確か3、4台停められるようになっていて確かその内の一つに止めて、後ろぶつけた思い出がある。
これは主人公の不注意だったのだが、タイヤ止めがないという事も少々憤りを感じた事をここで告白しよう。ぶっちゃけ、田舎の駐車場なんてそんなところだらけなので、やはり結局主人公の確認不足だったのだ。
この『鰯屋』さんであるが、簡単に説明すると、うどんを注文して、揚げ物やてんぷらを取りたい物を取って最終清算という所謂最近のうどんチェーン店の方式、というか香川県の方式なのかな? 蛇口みたいなん捻ったらうどんスープが出るところがあったような気がする。
「かまたまってなに?」
「釜揚げうどんを生卵でからめたやつだよ」
実際そんな感じなんだが、別段うどんに詳しいわけではないので、間違いがあれば教えて欲しい。ぶっちゃけ関西人にしては珍しいソバ派の主人公はうどんの知識が増えてもなんら嬉しくはないけれども……
主人公は鶏天にひやあつのうどんを選ぶ。これはグルメ小説ではないが、一応説明を、ひやあつとは冷やした麺を熱い汁でたべる食べ方で、その逆があつひやという、実際どう味や食感が違うのかはご自身で堪能していただきたい。
この鶏天は主人公の西宮から殆ど出ない知識での回答だが、香川県ではまぁまぁメジャーな組み合わせであると聞いていたので郷に倣い主人公はこのセットとした。
サヤちゃんもなんか天ぷらをとっていたように思うけど、忘れた。
はじめて本格的な讃岐うどんをここで食べる事になるのだが、まぁうまいのなんのって、うどん玉が切れたら即閉店にする姿勢にもなんとも言えない共感を感じた。
仕事ってのはそうあるべきなのだ。
この頃、主人公はまだソニーのMDプレイヤーを使っていたのだが、ロット不良か、修理をしても修理をしても壊れる謎の現象に見舞われていた。
この頃、ミドリ電化というお店だったのだが、そこのサービスは本当に良かった。何度も修理を受けてくれて最終的には新品が帰ってきた。
確か使って一年ギリギリいないくらいだったので、本当に主人公の使っていたMDにはなんらかの欠損があったのやもしれない。
現在エディオン西宮として存在しているそこだが、パソコンの自作系パーツ、いわゆるドスブイ系商品を置いててくれるのは非常にありがたいが、ミドリ電化時程のサービスの良さは感じない。やはり、根幹の会社が変わると色々変わるわけで、それは慣れるしかないのだろう。
そのMDをサヤちゃんとここで一緒に聞いていたのがなんだかよく覚えている。何の曲だったかな?
この記憶も定かではないけど、イエロージェネレーションの『北風と太陽』だったんじゃないかな? あの夏僕は~という歌詞の曲である。何かの昼ドラのテーマソングだったように思えるが、気になる方はググってほしい。
いきなりリア充話をつらつらと書いたのだが、実はサヤちゃんとの思いではこれ以降覚えていないのである。
というか、もしかすると本当に無かったのかもしれない。サヤちゃんも女子高生となり、それなりにまわりに出会い。女の子として次のステップに上る頃というのもあったのだろう。
さらに、女子高生になったサヤちゃんが友人や先輩を紹介してくれたのである。
そこで主人公はサヤちゃんの先輩、萌美ちゃん(仮)と出会う。
その子は、なんというか元気系でかつ守ってあげたい感じのする女の子だった。しかし、当時、彼女には彼氏がいた。
そんな事もありこの萌美ちゃんと主人公が関わる事はないとそう思っていた。主人公はこの二年生の時代も漫画・ネットカフェで働きながらスロットのハイエナ行為を繰り返して生計を立てていた。
付き合うという事への耐性が無かった。主人公はサヤちゃんと付き合うという事をゴールとして捉えており、それ以降の事をあまり行動しなかった。
これは男としても人間としても主人公が未熟だったんだろう。所謂女の子をブランド的に見ていたのかもしれない。
主人公はサヤちゃんと連絡を取らず三か月近くの月日が経っていた。久しぶりに彼女をデートに誘うと彼女はついてきた。
しかし、なんだかよそよそしい。
主人公は彼女との距離に関してなんとなく理解していた。恐らくもう彼女の心は主人公と共にはないのだろうなと……
それなりに有名なブランドであるティファニーのネックレスを彼女にあげた。
それは彼女の心をつなぎとめておく為のプレゼントではなく、主人公との手切れ金というか謝罪代わりのプレゼントであった。
「こんな高いのもらえないよ」
「貰ってよ。最後くらい恰好つけさせて」
主人公はあと腐れない方を好む性格だった。女の子と別れてストーカーじみた行動にでる男や、逆にその女の子みたいな面倒な事は御免だった。
別に結婚しているわけじゃないので恋愛は自由だ。
もう主人公に対して愛がないならそれで構わない。かなり長い間放置した主人公にも大きな問題があるし、これで終わりたかった。
「……うん、わかった」
サヤちゃんはかなり身長が高い男ともうこの時に付き合っていた。それをこの別れた後に電車の中で見たんじゃなかったかな? サヤちゃんは主人公の事を気づいて気まずそうにしていたが、もう主人公とサヤちゃんの関係は終わったのだ。
大学生の間に二回も痛い恋愛をすると主人公はしばらく女の子と絡む恋愛沙汰はいいかなとアルバイトとスロットに打ち込む事になる。
この頃は一斉を風靡した北斗の拳と吉宗がホールでデビューし大ヒットとなる。そりゃ一日で十万、二十万をさくっと出してしまうのであればそれに狂う人たちが大勢いたので色々問題があったんだろう。
この頃には誰も考えもしなかった日本のカジノ法案。
世界一ギャンブルが多く、ギャンブル依存症の人間が多い日本という国において、カジノという盛り場がどうなるのかは分からないが、主人公はできれば大阪に作ってほしいと思う。
仕事帰りに通うわ!
という、主人公みたいな人間が恐らく数多くいるのであまりいい物ではないかもしれないね。
主人公はこの当時少々やさぐれていたかもしれない。スロットをぺしぺし打ちながら、つまらない日常を送っていた。
そんなある日だった。
サヤちゃんの友人から病院に付き合ってほしいという謎の呼び出したがあった。ついて行くと、精神病院に睡眠薬を貰いに行っていた。この当時の女の子にありがちななんちゃって精神病である。
この女の子、名前はもう覚えてはいないのだが、確かサヤちゃんの同級生にして一つ年上だったような気がする。
この女の子と主人公は話す事は特になかったので、いろいろサヤちゃんの事を話したりしている中、萌美ちゃんの事を思い出す。
そして萌美ちゃんの話題を出したところ、萌美ちゃんも主人公の事を気になっていたとかちょっと意識してしまう事を言われる。
「えっ、マジで? でも萌美ちゃん彼氏いるんじゃないの?」
「萌美、別れたよ」
マジかと思いながら、なんだか少し期待してしまっている自分が少々気持ち悪いと確か主人公は思ったハズだ。恋愛なんてややこしい事をもうしばらくは離れていたかったとか思っていた自分がいたが、このヤサちゃんの友達の悪魔の囁きを主人公は生涯忘れない。
「萌美に連絡しておいてあげようか?」
恐らく、このサヤちゃんの友達は本当にいい女の子だったんだろう。いや、あるいは主人公とサヤちゃんの事を知っていたからこんなお節介を焼いてくれたのかもしれない。依然彼女の考えがどうだったか、主人公には答えが出ないが、主人公は首を縦に振ったのだけは覚えていた。
171号線沿いにある神戸屋レストラン。ここは今だに存在しているので西宮に遊びにくる事があれば一度寄って頂きたい。女の子の制服が可愛くて、神戸屋のパンが食べ放題で、料理もまぁまぁ美味い。
そんな学生が行くには少しお高めの神戸屋レストランで主人公は萌美ちゃんと会う事にした。なんだか今思えばお見合いみたいである。
萌美ちゃんと仲良くなり、主人公は年が明け三年生になった。
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