第1話 酒とタバコとあともう一つは嫌われる
主人公が大学生になった時に初めてした事はアルバイト探しであった。このアルバイトだが、今でこそメジャーとなった漫画・ネットカフェで主人公はバイトをする事になる。それは紳士服の青木系列の漫画・ネットカフェというとご存知であろうか?
知っている人は知っている。
171号線沿いにある『快活CULB』という今や恐らく日本全国そこら中にあるだろう漫画・ネットカフェである。
このオープニングスタッフとして主人公は働く事になる。
どうでもいい情報なのだが、このオープニングスタッフにお笑い芸人志望の方が一人いたんだが、2017年だか2016年だかにM1で優勝をしている。
正直、主人公は今も当時も彼よりも主人公を含む、他オープニングスタッフの方が面白い人間が多いと思っているが、心から彼にはお祝い申し上げたい。
テレビで見るとあー、頑張っているんだなと当時を懐かしくなるのだ。
それだけでもこのアルバイトに住まう連中がおかしな奴が多かったわけなんだが、主人公は一番年下だったので大層みんなに可愛がられた。
今尚、この皆さんのおかげで主人公は大人としてそこそこの常識を持っていたのかなと思っている。
この大学一年生の恋はこの従業員達とではない。ならば誰なのか?
主人公がバイトをするこの漫画・ネットカフェに遊びに来るお客さんだった。そのお客さんは中学、高校と同じ学校だった女の子。
中学時代はバレー部女子にいて、主人公は可愛い子だなーと思っていた。ゆなちゃん(仮)このゆなちゃんは頭がとてもよくて、頭がいい男子と付き合って手を繋いで下校していたのを何度か見ていたので心が折れそうであった。
「いらっしゃいませ」
「あっ……リクライニングシートお願いします」
リクライニングシートは一番普通の席でテレビかパソコンかを選ぶ事ができる。彼女はいつもテレビのシートを選び漫画を何時間か読んで帰っていく。
正直、おっぱいは小さいけど、良いところのお嬢様って感じで本当に可愛らしい子である。主人公の事を見て軽く会釈をしてよく漫画を読んで帰る中、主人公は彼女にできる唯一のサービスとして割引券付きのティッシュをあげる事これで30分無料のサービスがつくのだ。
それを毎回渡してあげる事が主人公のプラトニックラブである。
その愛はある時に気づかれる。
「いつもサービス券ありがとう」
「全然、こちらこそいつもご利用頂きありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる主人公に、ゆなちゃんは本当に人懐っこい笑みを見せてくれる。可愛い。本当に可愛かった。
ある日、主人公はゆいなちゃんが帰る時に長々と主人公は彼女に何処かに遊びに行かないかと遠回しに意味不明は動きをして説明をしてみた。
それは本当に主人公は滑稽だったんだろう。大人しそうなゆなちゃんが笑って主人公にこう言ってくれた。
「いいよ! 何時がお休み?」
主人公はこの頃、パチスロとアルバイトで生計を立てていた。当時の漫画・ネットカフェの時給が1000円くらいだったのに対して、パチスロの収益はだいたい一月30万くらいの時給換算で4.5000円はあったんじゃないだろうか?
この頃には超有名なミリオンゴットがまだ存在していたのだが、主人公は基本的にこの危険な機種は避けてAタイプという勝負がしやすい機種をメインに立ち回っていた。このミリオンゴッドであるが、一撃10万円のフラグがあり、こいつのせいで20万以上稼いだものの、友人関係を著しく悪くした事が主人公には悪い思い出として生涯つきまとうだろう。
少しばかりお金の亡者であった次期、中学生が一番馬鹿な時期なら、この頃は一番愚かな時期だったのかもしれない。
この頃、あらゆるスロットを打つ集団やら、前日情報を持っている連中との関係を持っていた主人公だったが、ゆなちゃんと遊ぶためにそれらからの連絡を全てキャンセルし、バイクを用意してゆなちゃんとツーリングに出かける事にした。
この頃には主人公は400CCのアメリカンバイクであるドラッグスターから1100CCのドラッグスタークラシックという大型バイクに乗り換えていた。
このバイクも大学を卒業し、就職をしてすぐに手放す事になるのだが、タンクにフレアラインを入れたりタンデムシートを長くして背もたれを造ったり主人公はありとあらゆる厨二カスタムをこのマシンにしていた。
マフラーは直管の竹やりマフラーを装着し、まだ微妙にいた暴走族みたいな連中が逃げ出すようなイカレたバイクであった。ヘルメットもマシンの色に合わせてフレアラインを入れてそれはそれはある種の拘りを感じた仕様だったんだろう。
この頃のマシンを主人公がいま見るとただただ思う事として若いなーと思う。それがカッコいいと思っていたんだろうなと。
今の主人公はバイクは持っていないけど、とあるスポーツカーを持っている。それはあまりカスタムをしてはいないが、そこそこ気に入る形にはしている。
いつまでたっても男の子は案外変わらないんだなと思う。
某日ゆなちゃんを待って主人公は待ち合わせの門戸厄神駅にバイクを停めてまっていた。この門戸厄神駅にあるパン屋さんのビスケットがマジで美味い。
主人公は近くを通ると必ず買うようにしている。
これは主人公の個人的な感覚によるものなので、当然主人公の独り言として受け取ってほしいが、この門戸厄神駅の前にあるパン屋さんのビスケットより、美味いパンを作る店は全世界ないと主人公は信じている。
「待ったかな?」
おい、おいおいおと清楚なワンピースを着たゆなちゃんがやってくるので主人公の心音は急激に速くなる。
「全然、昨日の朝くらいから待ってただけ」
確か主人公はこう言った。それはとても痛い事を主人公は分かっていなかったが、ゆなちゃんは楽しそうにそれを聞いてくれていた。
「何いってるのよ!」
「あはは、じゃあ乗って! これヘルメット」
ゆなちゃんはヘルメットを受け取るが、バイクへの乗り方が分からない。主人公の乗っていたドラッグスタークラシックは後ろに乗る人ように背もたれはあるものの、そこに乗る為には足をかけるステップから足を開いてシートに跨らなければならない。
「えっと、難しいよぅ」
その言葉に主人公は運転席から降りると、彼女の手を引いてタンデムシートへと乗せる。そして主人公は再び運転席に乗ると単車を転がした。最初こそ少し怖がっていたゆなちゃんだったが、段々とバイクというものを楽しんでくれていてた。
最初はもう今は無き成尾にあるライダースバーへと向かう。バーと言ってもお昼はランチやカフェとして使えのでそこで主人公はゆなちゃんと珈琲やサンドイッチを楽しんだ。オーナーさんは主人公が女の子を連れて来たのでニヤニヤとしながらも、邪魔をするわけでもなく、何かデザート的な物を差し入れしてくれたのを覚えている。
「君は凄い、怖い人だと思ってたけど、優しくて面白いんだね」
まぁ、今だから言えるけど、ゆなちゃんの瞳の中にハートが見えたのを主人公は思い出せる。これは惚れていたんだろうか? 日本代表のワールドカップの試合を待ちながらこれを執筆しているのだが、本当にどうだったのかなと思う。
「そんな事ないって! それより、ゆなちゃんがこんな話合うとは俺も思わなかったよ。この後はどうしようか? アマドゥにでも行ってみる?」
アマドゥは尼崎あたりにある微妙なショッピングモールの出来損ないみたいなところであり、当時は巨大なゲームセンターと釣り堀があった。今はスーパーとホームセンターだけのしょぼい場所になってしまったが、まぁまぁのデートスポットだった。ゆなちゃんはゆっくり頷くので主人公はアマドゥへと向かう。
どうでもいい情報なのだが、抱き着くようにタンデムしているゆなちゃんのおっぱいは感触があるのか分からないくらい小さかった。
アマドゥにつくと釣り堀で鯉釣りを行う事にした。この鯉、全然つれないのである。ただし、主人公は中学の頃に釣りをしまくっていたわけで、鯉の習性はよく知っていた。餌を水面ギリギリで浮かせておくと本能的に奴らは食いつく。それで爆釣して一番いい景品であるお菓子と交換し、大いにゆなちゃんに喜んでもらえた。
ゆなちゃんを自宅近くまで送ると主人公にゆなちゃんはとても楽しかった事を伝えてくれた。それには主人公も心が満たされる思いだった。
「いや、俺もゆなちゃん可愛いし楽しかった」
それに紅潮するゆなちゃん、これマジで付き合えるかなと主人公は思っていたし、次のデートの日取りも決めていた。
主人公はゆなちゃんと遊び為、バイトとスロットの時間を増やす。そしてデート前日、ゆなちゃんから冷たいメールが届く。
『パチンコとかギャンブルする人は嫌いだ。さようなら』
彼女は何処かで主人公がスロット店に入る姿を見たのだろう。決して悪い事をしているわけじゃなかったが、彼女からすると主人公は嫌悪の対象だったのだろう……それでも主人公は生活の為、西宮市は今津のスロットの聖地へと足を運んでいた。
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