第3話 和服美人のいる部活

 高校生になって一番驚いたのは、なんだと主人公が聞かれるとやはり主人公的には文化祭であると答えたい。小学校の頃にも中学校の頃にも文化祭的な奴は存在していた。まぁこういうとあれだけど、マジでしょぼかった。

 中学校の頃は教師に言われてつまらない展示をする程度だったと思う。小学校の頃はお化け屋敷であるとか、そういったまだ文化祭らしい事をしていたのだが……まぁ小学生のするレベルなので本当にお遊戯だったけで、アニメや漫画とかの学園物でよく見るあの学園祭というものはこの高校になって初めて経験したんじゃないだろうか?


 前回までゲームセンターにばかり入り浸っていたので主人公が高校生、高校生している姿をここで見せていこうと思う。

 よく分からないルールがあり、高校一年生は出店をしてはいけない。

 というか、初めての新入生はお客さんとして楽しんでくれという事なんだとなんだと思う。最初は軽音楽部を含む文化部の演技を楽しませてもらう。

 ぶっちゃけ、ライブも演劇も凄い面白かったなと覚えている。結局先輩たちってのは凄いんだなと主人公は今思うよ。

 それらに盛大な拍手を送るとそれから自由行動になるわけだが、主人公達何故か、教室に溜まって麻雀していた。



「おーい、やなさーん! 飲み物かってたもう!」



 なになにたもう。

 というのがこの頃の主人公の口癖だった。ぶっちゃけキモいなと今更ながら思うが、女子が可愛い可愛いというから主人公も引くにひけなくなったわけだ。何故学園祭を楽しまずに麻雀楽しんでいたのか本当に分からないが、しばらくすると主人公も麻雀に飽きて一人行動する事になる。

 この高校であるが、残念ながら涼宮ハルヒの憂鬱で主人公というかヒロインのハルヒが通う北高ではない。それよりもさらに高いところにある学校である。

 自慢ではないが、学校の敷地内にバスの駅がある事だろうか?


 主人公が通っていた頃は、マジでアニメとかに出てくるような可愛い制服だったが、2018年現在はクソみたいにダサい制服になっている。

 あの制服が可愛いから入学したとかいう生徒もいたくらいなのに、何故制服を変更したのか主人公は理解に苦しむ。

 制服が可愛いとそれを着たいという可愛い女の子が一杯くるのに、主人公の時代は本当に女の子が可愛くていい時代であったよ。

 少し主人公の事を説明すると、高校生になると主人公は結構猫のように気分屋に変わる事になる。多分だが、高校という環境において相当気が緩んでいたんだろう。


 というのもとてもいい友人達に恵まれていたので、主人公が突然麻雀の席から消えても彼らは主人公がまた猫のように散歩でも始めたんだろうと思ってくれていたらしい。

 とりあえず高学年の教室展示やらを見て回るが、まぁお世辞にも褒められたものではなかった。

 というかクソだった。なんかハートとか一杯あってかなりキモいなと主人公は思って外に出る。すると、家庭科部のお姉さま達がクッキーを売ってまわっていたので主人公当然それを買う。



「ありがとう! 一年生?」

「はい、できればお姉さんを食べたいです」

「あはは、この子おもしろーい」



 みたいなやりとりとして300円を持っていかれるどM向けのプレイを楽しめるのである。クッキーをバリバリ食べながら、その辺をうろうろしていると、PTA的な保護者のおばさん達が開いている喫茶店的な場所があったのでそこを覗いてみる。

 270円でケーキと珈琲のセットが食べられる……家庭科部のクッキーとは一体? という価格のインフレに驚きながらそこで珈琲を頂く。

 この頃の主人公におばさんに魅力を感じるアレはなかったのだが、実際40代くらいの女性でも全然20代と見間違う方に人生で会ってきた主人公としてはもったいない事をしたとか全力で思いながらこの文章を書いている。


 珈琲はなんかインスタントの多分、ゴールドとかその辺の味がしたんだったと思う。で、ケーキが何処から仕入れたのかは分からないけど、レアチーズケーキ系の何かだったんではないだろうか?

 ケーキセットを堪能した主人公は、ペットボトルのお茶を購入して構内をうろうろとする。ここで主人公はまたまた恋をする事になるのである。



「む、あれは!」



 主人公が二度見した先では振袖をきたお姉さま達が沢山いるのである。一体、ここは吉原にでも迷いんでしまったかとゲスな事を考えていたら、主人公をちょいちょいと手招きするお姉さま。

 自分に向けて指を指して主人公の事を呼んでいるのかいとジェスチャーしてみせると頷くので、主人公はスキップではなく、ギャロップをしてそのお姉さんの元へと詰め寄る。



「なんすか?」

「君一人だよね?」



 このお姉さんは、本名がマジでキラキラネームというか、某ギャルゲーの主人公と同じで、こんな名前の人いるのかよと主人公全力で驚いた人であった。

 そうだな。ソラさん(仮)としておこうか、ソラという名前と彼女の本名は全然関係ないのできっと特定はできないと信じたい。



「えっと、一人っすよ。どしたんすか?」



 ソラさんはなんと女性の中の女性のみが行えるというお華とお茶の部活。茶華道部というすさまじく人を選ぶ戦車道みたいな部活に属しているお姉さんであった。

 ちなみに、おっぱいが大きかった。着物からでも分かるこのボリューム感半端ではなかったのだよ!



「もしよかったらお茶でも飲んでいかないかなーって思ったんだけど?」



 このお茶というのは、へい彼女! お茶しない? のお茶ではなく、あの千利休とかじじい共のに昔異様に流行ったアレの事なのだ。



「はい、喜んで! お姉さんとお茶が出来るなら!」

「えぇっ! 君面白いね。じゃあ一緒にお茶のもっか?」



 なんて言われると、主人公、ほいほいとついて行くよ。当然ね! 学校の端の方に茶華道部の部室はあり、茶室がある公立高校てのは中々珍しいのかもしれない。まぁ、不思議な事に主人公実はお茶の経験者なのである。

 茶室というのは、身分隔たり無くというか、無礼講でお話をする場所なのだ。だから殿様と下々の者がお茶を振る舞ったり振る舞われたりするという、昔ってすげー画期的なシステム作ったなオイと思う。

 ソラさんは主人公を見て、まぁニヤニヤと笑う。このニヤニヤがいやらしくではなく、年下の男の子をからかう感じのニヤニヤなのですげぇ心地よいの! 眼鏡を外したら美人とかよく言うけど、そもそも美人は眼鏡かけても美人なわけで、ソラさんは知的系美人であった。



 主人公と同い年の女子が、掛け軸に書いてある事を緊張しながら読み、立ててくれたお茶とこの時のお菓子は確か桜餅だった。

 それを案外上品に食べる主人公にソラさんは少し驚く、この学園祭のお茶室は実際回転率を上げる為にお茶のんで5分程まったりしたら退室だったんだが、主人公、ソラさんと別れたくないのでこう切り返した。



「次は俺がお茶立ててあげよっか?」



 この台詞っぽい言い回し、本当にこのころの主人公は気持ち悪い発現を繰り返していたように思える。



「できるのぉ?」



 ソラさんが言うので、主人公は茶釜に水を入れて、沸かす。抹茶を用意してさし水で少し温度を下げるとお茶を手際よく入れる。

 どうもこの茶華道部、教えている先生は外部からちゃんとしたお茶の先生を呼んでいるらしく、主人公の手際の良さにこの先生も少しばかり満足。

 お客さんや茶華道部のお姉さま方に主人公の淹れたお茶をお出しする。先ほどのお茶と主人公がさし水をしたお茶とどっちが口に甘いか、感じてもらおうかと……



「……おいしい」



 そう、主人公の淹れるお茶はうまいのである。やややんちゃ系の主人公がまさかお茶なんぞたてられるとは思いもしなかったのだろう。なんせこの部活にお茶を飲みにくるのはおばちゃんか少しこじらせた系の女子かくらいだった。

 まぁここまでカッコいいところを魅せればソラさんはコロッと落ちてくれるんじゃないだろうかと主人公は思っていた。



「ねぇ、君この後少し時間あるかな?」



 大物が釣れたぜぇ! と主人公は思っている。彼女に言われるがまま二人きりになると、たこ焼きかなんかを奢ってくれた彼女はこういう。



「お茶とかお華って興味あるかな?」

「まぁ、なくはないですよ! 先輩の事も」



 そういうとクスりと笑うソラさん、というか主人公まぁまぁ飛ばしていたんだなとこれを書きながら思い出す。



「茶華道部入ってくれないかな? 私、今年で卒業だし君みたいに知識がある人がいたら他の部員も頑張れると思うんだ」



 主人公は考えた。

 先輩と付き合うならそれもありかなと、大学生になった先輩が遊びにこれるスペースを主人公が作っておくというのもまぁ究極の愛のカタチかもしれない。



「先輩が付き合ってくれるなら……」

「……そっか、ごめんね。私、高校卒業したら結婚するんだ」



 なんだよいコイツ、マジかよ! というのが主人公の全力の心の声だったけど、涙を流すのをこらえて主人公は満面の笑顔で言った。



「おめでとうございます!」

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