第1話 阪神西宮のゲーセンでモテるし花火大会にいく

 高校生になった主人公はブレザーに身を包み、一部中学生の頃の同級生と全く知らない連中と同じクラスに収容される事になる。見渡すとでかい奴だらけで、これが高校かと少々驚きを隠せないでいた。

 そして、女の子が中学毎にタイプが違うなぁとそんな事を考えていて眺めていた。すると後ろから背の高い醤油顔の少年に声をかけられる。



「なぁ、お前もしかして」



 なんだコイツ、新手の詐欺か? とか思ってそいつをマジマジ見る。身長は175cmくらいの主人公よりちょっと高い。

 顔は……



「あっ、冬ちゃんか!」



 まさか幼稚園の頃仲良かった友達なのである。お互い十数年会っていないのによくまぁ覚えていたものだ。彼と意気投合していると彼の中学生の頃の友人が登場する。

 まぁ、びっくりするくらいねずみ男にそっくりなので、彼をねずみ男と今後呼ぼうと思う。彼のヤバいところだが、まさかの隠れ厨二病なのだ。その時は俺悪だからという空気を纏い、喫煙をしてそんな事をふうちょうしていたこのねずみ男に主人公は多分こいつは底浅いだろうなと思っていたが、この読みはその通であった。

 まぁ、悪い奴ではなかったのだが……


 主人公は高校生になり、普通にベタ惚れした子がいた。なんといっても三年間彼女を想っていただけにまぁまぁ惚れこんでいたのだろう。

 それはセミロングのロリキュンなタイプの女の子だった。最近この物語を書くにあたって卒業アルバムを見たのだが、やはり可愛かったわけで、当時も今も気持ちは変わらないなと思う。今は彼女は何をしているのやら分からないが、今も主人公は彼女の事が好きかもしれないけど、この想いは墓場へと持って行こう。


 冬ちゃんと出会た事はまぁ今後の高校生活においては良かった。またウチのクラスには留年した生徒がきた。

 勉強ができなくてダブったタイプの人で、凄い寡黙な男前という感じだった。みんながややビビッて腫物を触るように扱い『さん』付だったので、とりあえず主人公は『くん』付で出来る限りよそ者扱いしないように頑張ってたのを恐らく誰も知らないだろう。


 というのも、高校一年生最初のイベントは泊りがけのオリエンテーションであった。また凄い事に名前順で班を作られたのだが、全員が別の中学であり、一人がダブりの彼。

 しかし、主人公と冬ちゃんは認識があるという、ややアドバンテージがある状態で始まった。

 主人公はどちらかといえばムードメイカーだったので、人見知りな他のメンツ達を主人公はとりあえず主人公を中心にまとめ上げた。

 これに関しては本気で教師は評価すべきだと主人公は今尚思うよ。主人公と仲良くなり、横のつながりでとりあえず班の全員は仲良くなった。そうなるとその友達も別クラス等からやってきて仲良くなる。


 こうすればイジメなんてものは世の中から無くなるのだがと主人公は思うのだが、ガキ大将というか、リーダー的な存在が今は足りないんじゃないかと思う。

 この泊りがけのオリエンテーションは朝起きて勉強をして、運動をしてたまにレクリエーションをしてとそんな感じだった。

 ダブっていた当時の少年。佐東君(仮)は毎晩喫煙をトイレでしていた事をここで暴露しておこう。もう時効だろうし、教師陣も多分知っていただろう。

 主人公はたまに喫煙をするが、なんと未成年の頃は喫煙も飲酒もしなかった。これも合理的で、どうせ大人になればタバコも酒もいくらでも浴びる程経験できるだろうと興味はあれど我慢をしていたのだ。


 実際今でも一週間我慢してからビールを飲むと頭がぶっ飛びそうになるくらい美味い。これを読んでいる未成年の読者がいれば二十年我慢して飲むビールは恐らく一生に一回しか楽しめない経験だと思うので、楽しみにしていればいいんじゃなかろうか?

 翌日は班のみんなでカレーを作る事になっていた。主人公は料理が得意だったのでとりあえず食材を切り、カレーの準備を黙々と進めているとねずみ男が登場した。


 彼は所謂班に始めず、主人公達の仲間に入れてくれという遠回しの心の声が聞こえるが、主人公達は一人分ねん出するほどカレーの材料をもらっていないのでお引き取り願った。

 そんな事より、主人公料理ができてよかったなと思えたのは、高校生にもなって包丁を持った事がない女子が主人公のところにこぞってやってきた事であった。



「玉ねぎ切って!」



 玉ねぎを切ると涙が出る。それが難しいのだろう。主人公はボウルに玉ねぎを入れてそこから出して切る方法をみんなに伝える。全然涙が出ない事に驚き、黄色声援で主人公はまぁまぁ鼻の下を伸ばしたのである。

 出来上がったカレーの食べ比べなんかをしながらクラスの他の連中とも仲良くなる事に成功し、主人公の高校一年生ライフは始まる事になる。

 ここから主人公は元々の中学の連中とつるみつつ彼らが格闘ゲームにはまっている事を知りその付き合いがてら小学校以来のゲームセンター通いとなる。

 阪神西宮駅前にあるタロフォフォというゲームセンターでギルティギアという絵がアニメ調のゲームにハマっていく事になるのだが、絵が綺麗なだけに、オタク系女子のプレイヤーも沢山いたのだ。


 今でこそ、容姿の耽美なオタク男子、女子といてオタクという称号そのものが上位カーストのようになってきた現在と違い、昔は隠れオタクという存在がいたように、オタクイコール、負のレッテルとされてきていた。

 それが主人公の時代で随分、殻を破ろうとしている時代だったのかもしれない。そこそこお洒落に気を遣っている子や、そこそこお洒落を失敗している男子等がしのぎを削っていた。


 そんな中である。

 単純にゲームが好きなライトなオタクである主人公達がその盛り場に参入する事になった。主人公達は制服を着崩してパーカーを着たりする所謂今でいうペルソナ系のファッションをしていたわけで、オタク系女子の受けが異常に良かった。

 勝てないのが分かっているのに、わざわざ主人公達に対戦を挑んできて負けるとこちら側に回ってきて話し出すという事を繰り返している内に主人公達とどんどん仲良くなっていく。


 ここでいうと、男子と遊べる女子という者は学生時代では多分モテる。

 何故なら、年下の女の子というだけで主人公達からすれば妹のようにかわいがってあげてるのに、同じくゲームができてカラオケなんかにもいけて、それでいてまぁまぁしおらしいので男の自尊心をくすぐるには彼女達は十分男を攻略するのが上手いと言っても過言ではないだろう。


 タロフォフォでゲームをする以外はだいたい今は無き43号線沿いのカラオケボックス、アルファーゾーンでカラオケをするのが我々の遊びとなっていた。

 この頃の仲良くなった女の子は、両方神戸の方からやってきていた。舞ちゃん(仮)と真世ちゃん(仮)である。

 舞ちゃんはまだ中学生で、真世ちゃんは同い年だった。二人とも普通に可愛い女の子で、舞ちゃんはこのゲームセンターのマドンナ的立ち位置にいた。

 この頃、主人公は歩いて山の上にある高校へと行っていたのですげぇ痩せて筋肉質だった事もあり、ぶっちゃけモテた。


 まずは舞ちゃんからだったろうか?

 やっと高校生になってガラケーを手に入れた主人公だが、当然舞ちゃんとも真世ちゃんともメールをやりとりしていた。

 朝起きただけでおはようとかメールがくる事に関してはなんだコイツと主人公は思っていたが、マメな子なんだろうなと思って返信を繰り返していたある時、いつも通りゲームセンタータロフォフォでギルティギアにいそしんでいた時、後ろでゲームを見ていた舞ちゃんがわざわざメールをしてきたので携帯を見るとなんと二人で花火大会に行きたいというものであった。


 主人公は少し考えが止まり、ラスボスであるイノという東京事変の椎名りんごにそっくりなキャラクターに敗北する事になる。

 いつからあるのか分からないがタロフォフォの並びにあるカフェに入ると舞ちゃんに話を詳しく聞く。



「えっと、お母さんとお兄ちゃんがいけなくなったから良かった一緒に行けたらなって思ったんだよぉ!」



 完全に嘘である。

 主人公はこういうとアレだが、嘘かどうかは大体分かる。舞ちゃんは多分、主人公と一緒に行きたかったんだろう。

 それに気が付くと主人公は胸の奥がキュンと鳴った。舞ちゃんって可愛いなと、ぶっちゃけこの子は小悪魔的な側面があったのかもしれない。そこそこ可愛い容姿とそれに合った格好をしてちやほやされるのが好きだったんだろう。

 まぁ、オタサーの姫の原型的な感じだろうか?

 そこにバンピーでそこそこ見れる男がいるので、それに手を付けておこう的なそんな感じだった事は間違いなかったんだと思う。

 最初の時点では……

 主人公は関西でも相当有名な淀川花火大会で舞ちゃんと花火を見に行く事になる。それは今思っても勿体ない日だったんじゃないかなと思うのだ。

 花火大会編へ続く。

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