香澄が行きたい場所とは!?

    ワシントン州 サンファン諸島 二〇一五年五月二四日 午後一時三〇分

 ライム・キルン・ポイント州立公園での観光を終えた香澄たちだったが、次の行き先を決めていない。正確には行きたい観光名所が多すぎて、どこへ行けば良いのか分からなくなっている。

「えぇと……この後はどこへ行きますか? 私は先生や香澄たちが行きたい場所でいいですよ」

「そうね。まだ午後の一時を過ぎたばかりだから、まだ時間に余裕はあるわ。……ジェニー、香澄。二人はどこか行きたい場所はあるかしら?」

「そ、そうですね……私はどこでもいいかな」

エリノアやフローラの問いかけに対し、思わず言葉を詰まられてしまうジェニファー。肝心な時に優柔不断な性格が出てしまい、少し呆れ気味の香澄。だが当の本人も、午後の行き先について特に考えていないようだ。

「……とりあえず一度、トランペッター インへ戻らない? そこで車を停めてから、ハイキングを楽しむというのはどう? 実は私……ちょっとがあるの」


 香澄がどうしても行きたい場所とは、一体どこなのだろうか? そんな疑問を感じつつも、“たまにはハイキングも悪くないわね!”と彼女の意見に賛同する一同。

「ハイキングするのはいいけど……香澄、あなたの行きたいお店って一体どこなんですか?」

率先して香澄が行きたいという場所について、興味がある様子のジェニファー。

「今は内緒よ。大丈夫、ジェニー。あなたたちもきっと気にいる場所だから」

「う~ん……まぁ、香澄の言うことだから間違いはないと思うけど……」


 楽しそうに会話する二人をよそに、軽くため息をもらすエリノア。

「あら、エリー。もしかして疲れたの? ……疲れたのなら、トランペッター インで休んでいてもいいわよ?」

とっさにエリノアの体調を気遣うフローラ。“いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます、フローラ”と言いながら、

「せっかくみんなと一緒に観光旅行しているのに、私だけ休むわけにもいきません。そう言うフローラこそ……疲れていませんか?」

逆にフローラの体調を気遣ってくれたエリノア。

「ありがとう、エリー。でも私は大丈夫。……何だかあなたたちと一緒にいると、私も自然と元気になるのよ」

 明るく元気な香澄とジェニファーに触発されたのか、“自分もまだ大丈夫よ!”と告げるフローラ。そんな彼女の声を聞き、優しく微笑むエリノアの姿があった……

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