Trip to San Juan Islands Day Ⅱ(サンファン諸島 二日目の旅行)
目の前に広がる絶景
ワシントン州 サンファン諸島 二〇一五年五月二四日 午前八時〇〇分
ワシントン州 アナコルテスからフェリーでサンファン諸島へ旅行に行き、イングリッシュキャンプを観光し終えた香澄たち。彼女たちは宿泊先として、トランペッター インというホテルに泊まっていた。
久々の旅行ということもあり、彼女たちは午前八時〇〇分に目が覚める。特別遅い時間というわけでもないが、毎朝午前七時起きの彼女たちにとっては、まさに至福の時間。特にフローラは家で朝食を作っているため、午前6時前後に起きることも珍しくない。
「……今日もいい天気ね」
ベッドから起き上がった香澄は、窓のカーテンを開け部屋の中に日光を入れる。そして体を伸ばしながら香澄がふと外を眺めると、目にある光景が留まる。
「わぁ……なんて綺麗な場所なの」
色とりどりの花が綺麗に並べられた光景があり、しっかりと手入れもされている。イングリッシュガーデンのような上品かつ気品溢れる景色は、まるで桃源郷のようだ。あまりの絶景を目にして、言葉を失ってしまう香澄。
そんな花の香りに誘われるかのように、ベッドで眠っていたエリノアも目を覚ます。あくびをしつつも軽く目をこすりながら、
「あっ……か、香澄。おはようございます。朝から元気ですね……」
朝の挨拶を交わす二人。一人暮らしには慣れているエリノアだが、昨日の疲れが抜けていないためか、この時ばかりは瞼が少し重たい。そんなエリノアを見て微笑みを浮かべつつ、
「おはよう、エリー。……ほら、見て。この景色!」
両手を広げながら外の景色を見るように誘う香澄。“もう……一体何があるの?”などと思いながら、ふと外の景色を眺めるエリノア。
そこには一面綺麗な花畑が広がる光景を見て、半分眠っていたエリノアの眠気も一気に覚める。そして香澄と同じようなリアクションを取り、部屋の中で二人の気分も舞い上がってしまう。
その後部屋を出た二人は、一〇二号室のルームに宿泊しているジェニファーとフローラの部屋へと向かう。だがジェニファーとフローラたちも考えは同じだったようで、ほぼ同じタイミングで一〇一号室と一〇二号室のドアが開く。とっさに視線があった彼女たちは、お互いに“おはようございます”と挨拶を交わした。
挨拶を交わした後、トランペッターインで朝食を済ませる。メニューはパンとサラダと飲み物が付いたセットで、ラベンダー畑の心地よい香りと見事にマッチしている。
朝食を食べ終えた香澄たちは一度部屋に戻り、二日目の観光に向けて準備をはじめる。だが周辺を観光するということもあり、貴重品とバッグだけ持参した香澄たち。
その後フライデー・ハーバーで残りの部員たちと合流し、顧問のフローラは昨晩と同じように挨拶する。一〇分ほどの挨拶が終わったら、部員たちはこれで解散。今度部員たちが集まるのは、昨日と同じ午後六時ごろだ。
移動するメンバーは基本的に昨日と変わらず、香澄・ジェニファー・エリノア・フローラたちは同じで、残りはシンシア・モニカ・エドガーのグループという組み合わせ。
エドガーは昨日サンファン歴史博物館にいたようで、ある調べ物をしていた。博物館では色んな歴史が学べることもあり、宗教学者を目指す彼にとってまさに天国。だがせっかくの旅行ということもあり、二日目は部員たちと一緒に行動することにした。そこで昨日の夕方頃にシンシアとモニカに偶然出会い、二日目、つまり今日の観光を一緒に回ることになった。
香澄をはじめジェニファーやエリノアは、同じサークル部員のエドガーについてあまり詳しく知らない。特別優れた頭脳や運動神経を持っているわけではないが、人当たりの良い性格。そのため同性に限らず、異性の友達も多いエドガー。そんな彼だからこそ、偶然出会ったシンシアとモニカを誘えたのかもしれない……
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