三章 事件の調査開始

(第一幕 三章)登場人物・用語集・場所説明・アメリカと日本の違い 一覧

                 三章


              『用語補足説明』


フット・イン・ザ・ドア……心理学におけるテクニックの一つ。最初に小さな頼みごとをした後で、自分が本当にお願いしたいことを伝える手法。別名「段階的要請法」とも呼ばれており、実生活や営業などのテクニックとしても活用出来る。一度頼みごとを承諾してしまうと、次の頼みごとは断りにくいという人間心理の盲点をついた手法。ポイントとして、最初の頼み事は出来るだけ簡単な内容にすることが重要。

 作中では、香澄がいじめ問題についてエリノアへ問いかけるために使用された。

Ex と香澄がエリノアに伝え、彼女は何の疑いもなく修正を行う。

 だが香澄がエリノアを呼びだした本当の理由は、いじめ問題に対する噂の真意について。いきなりいじめ問題について問いかけると、香澄・エリノアの人間関係に亀裂が入ってしまう可能性がある。

 そんなトラブルを避けるために、提出した課題の不備という理由を作った。代理顧問に位置する香澄が課題の不備があると言えば、サークル部員のエリノアは必ず修正する。

 第三章『香澄たちの策略』『いじめの原因とは!?』では、そんな人間心理をついたテクニックを香澄が使用している。


          『アメリカの日本の違いについて』


カウンセリング……日本ではカウンセリングについて、あまり積極的に行われていない傾向がある。その理由として、心の悩みを打ち明けたくない・どこか敷居が高い・恥ずかしい、などの理由があげられる。日本でカウンセリングを受けていると会社や友達などに知られると、「心を病んでいる」と思われることも少なくない。

 日本文化では「耐えることが美徳」という観念があり、他人に相談して解決するという概念が定着していない。また料金についても高く設定されており、心療内科・精神科以外のカウンセリングだと保険が適用されないことが多い。


 しかし本作の舞台となっているアメリカでは、カウンセリングに対する認識が日本とは正反対。アメリカではカウンセリング料金が日本の半分以下であることが多く、保険適用されることが大きな要因。

 自己管理をかねて利用する人がアメリカには多く、生活の一部として定着しているほど。「心を安定させるため」という理由から利用されることが多いことも、最大の特徴。日本でいうと風邪をひいた時に利用する内科・歯の定期検診時に利用する歯科に近いイメージ。

 

 第1章の臨床心理における『アメリカと日本の違い』でも触れたが、アメリカでは心理学・心理職に対する認識が日本と大きく異なっている。日本における心理職(公認心理士・心療内科医・精神科医は除く)の特徴として、民間資格(臨床心理士・心理カウンセラー・産業カウンセラーなど)でも職に就くことが許されている。

 そのためアメリカで働くカウンセラーとは、臨床心理士や正式な心理学に関する資格を所有した人のことを指す。心理職に対する認識についても、アメリカと日本では大きく異なっている。医師が「ホームドクター」と呼ばれていることに対し、心理職は「ホームカウンセラー」と呼ばれている。(詳細は第一章『アメリカと日本の違い』の臨床心理士にて解説)

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