第32話

 お風呂から上がると、先輩たちと乃愛のあがゆったりとくつろいでいた。


「あれ?どないしたん?早かったね?」

「広すぎて落ち着かなかったもので……。それより何してるんですか?」


 お風呂であったことを話しても信じてもらえないし、心配させてしまうと思ったのでとりあえず話さないことにする。

 それよりもみんなが何をしているのか気になった。


 スマホを一台テーブルの上に置いて、みんな各々くつろいでいたからだ。


「今とあるアプリをダウンロードしてんだ。これを使って遊ぶぞ」

「ちょうどダウンロードが終わったみたいだね~」


 萌々香ももか先輩のスマホなのだろうか?そこは不確かだが、何かのアプリで遊ぶみたいだ。


「ワー〇ウルフ……?」

「初めて聞いたか?」

「人〇なら知ってますけど……」

「〇狼か。まぁそれに似たような感じだ」


 〇ードウルフなんて聞いたことなかったな。アプリがあるってことはもう結構有名なのかな?


「ほな今から説明するからよう聞いてね?」

「わかりました」


 ワードウ〇フ。

 簡単に言ってしまえば、仲間外れを探すゲームだ。

 このゲームを説明するには例として一度ゲームをプレイした方がいいだろう。


「と、いうわけで!始めるぞ!」

「「「「「「おー!」」」」」」


 説明をしながらやるので、勝敗は関係なしだ。


「最初にある単語が全員に与えられるんだ。今回は"福神漬け"だな。そしてこの単語なんだがな?一人だけ微妙に違う単語が与えられるんだ」

「微妙に違う単語?」

「そうだ。今回は"ガリ"だな」


 なるほど。全員が単語を与えられ、その中に一人だけ違う単語を与えられた人がいるからその人を探し出すゲームなわけだ。


「で、どういう風に仲間外れを見つけるかなんだが、参加者全員にはこの単語……自分の持っている単語について会話をしてもらう」

「会話……。自分がその単語かばれないようにする……?」

桜雪さゆきの言う通りだ。一人だけ与えられた単語が違うんだから必ずどこかにが生じるのさ」


 みんなの会話の中で、僅かにズレたことを話している人を探し出すわけか。


「このズレを見抜いてワードウルフを特定できれば多人数側の勝ち。特定されずに逃げ切ればワードウルフである一人側が勝ちって話だ。簡単だろ?」

「ルールはわかりました」

「んじゃ、とりあえずやってみるぞ。単語はもうみんなわかってるから、どんな感じになるのかだけやるぞ。とりあえずオレが一人側をやる」


 みんなが頷いたのを確認して、お試しワードウル〇は始まった。


「確認だが、みんな食べ物だったよな?」

「そうやね。一緒に食べるんがうちは好きやなー」

「俺もですね」


 最初の久美くみ先輩は"ガリ"の話で、あとの眞智まち先輩と俺、その他の人は福神漬けの話をすることになるわけだ。

 これだけだとまだ誰が仲間外れなのかわからない。


「あれって赤いやつをよく見ますよね~」

「うん。見る」

「お、おう……?」


 あかりの言葉にサユが賛同する。それに久美先輩は困惑する。今は演技だけど。


「カツと一緒だとあたしは入れないかな!」

「…………」


 続く乃愛のあの言葉。


「僕はソースがあればそれでいいね~」


 そして萌々香先輩の言葉。


 もうここまでくると疑う余地もなく久美先輩が仲間外れ……つまり、ワードウ〇フであるとわかるだろう。


「ま、そういうことを言うとばれるかもってことだ。みんなもうおっけーか?」

「問題ないです」

「わたしも」

「私も!」

「うちはいつでもおっけーどすえ」

「あたしも大丈夫です!」

「僕もだよ~」

「それじゃあアプリを起動だ!」


 今回は本当に対戦するので、自分の単語しかわからない。

 俺の単語は……"冷蔵庫"か。


 みんなが単語を確認し、ゲームが始まった。


 "冷蔵庫"……どこから話せば……?


「みんな機械でしたか?」

「オレは機械だったな」

「うちもや」


 乃愛が第一声を上げた。

 それに久美先輩と眞智先輩が続く。

 最終的にみんな頷いてしまった。


 嘘をついてるような人はいなかったな。


「みんなの家にありますよね?」

「ある」


 今度は月が質問をした。サユが同意したあとにみんなも続く。


「僕は自分のも欲しいね」

「わからなくはないですけど、難しいですよね」


 萌々香先輩の意見に俺も同意する。


 もしかしたらこっちは多数派なのだろうか?

 たまたま意見が同じだったのだろうか?


「ずっと動かしてなきゃやから電気代がやばいもんなぁ」

「そうですね」


 自分のを持つのが難しい理由は眞智先輩の言う通りだ。


「わかった。みんな冷蔵庫」

「「「「「「!?」」」」」」


 嘘!?当てられた!?


「桜雪の勝ちだな」

「ちなみになんやったん?」

「電子レンジ」

「それは一家に一台でいいね……」


 萌々香先輩と俺の会話で怪しいと思って眞智先輩の言葉と俺の同意で確信したのか。


「じゃあ次だ」


 えっと、俺の単語は……"青〇"?"〇鬼"ってあのホラーゲームの?

 これと微妙に違う単語ってなんだ……?


「じゃあまず僕が。食べ物だったよね~?」

「そうだな」

「そうやね」


 食べ物!?"青〇"だよ!?食べられる側じゃなくて!?


「緑でしたよね?」

「うん」

「乃愛ちゃんと同じだね」


 えっ。

 名前に青って入ってるんだけど。


「味噌汁に入れると上手いよな」

「おいしいですよねっ」


 味噌汁!?ブルーベリーの全裸の巨人を味噌汁に!?何事!?


「もしかして海藻やった?」

「そう」


 ????????????????


「みんなもしかしてわかめ?」

大翔ひろとくんしゃべらないから怪しいと思ってたけど……」

「ちなみになんだったの~?」

「"〇鬼"……」

「「「「「「……全然違うじゃん」」」」」」


 調べてみると、『全然違うのも面白いよっ』とのこと。

 まぁ一人側は面白かったかな。うん。


「よっしじゃあ次行くぞ」


 そうやって誰かが寝ようと言い出すまで、ゲームは続いた。

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ゲーム人生ぷらすリアル人生 小倉桜 @ogura_haru

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