第18話

「ヒロ、置いていこうとするなんてひどい」

「そうだよ大翔ひろとくんっ」

「悪かったって」


 俺たちは部活動終了のチャイムが鳴ったので、帰路に就いていた。

 ぶつぶつ言いながら窓の外をぼーっと眺めるあかりと、伊花いはな先輩に抱きしめられてむぎゅむぎゅ言ってるサユを置いていこうと思ったのだが、ちょうどチャイムが鳴ったのだ。


「それにしても、サユ。大丈夫だった?」


 気を取り直して、サユに問いかけたのだが反応がない。


「…………」

「おーい?サユ?」

「はっ……!そうだね、やわらかかった」

「何の話!?」

「大翔くんのえっち……」

「おかしいよね!?」


 理不尽すぎる……!


「そういえばもう序列戦が今日だね~」

「あれっ!そうだったっけ……」

「ヒロ、忘れてたの?」

「いやぁ……明日が七月一日かと思ってた……」


 もうテストも近いんだよな。

 この土日を挟んだらテストだ。


「月は誰かに挑むの?」

「もちろんだよ!」

「サユは挑むんだよね」

「うん。ヒロは決めた?」

「まぁ一応ね」


 実は俺も挑戦することにしていて、もう申し込んである。

 勝てる見込みはあるけど、相手も対策をしてくるだろう。


「みんな順位上がるといいねぇ」

「そうだなぁ」

「ん」


 みんなでゆっくりとしゃべりながら歩いて帰るこの時間。

 こういう時間も学生ならではだよね。


 俺の両隣にサユと月。まさに両手に花だ。

 客観的に見たら幸せ者だな。主観的に見ても幸せだけど。


「序列戦前に練習とかしたいねぇ」


 しばらく無言で歩いていると月がぼそっとこんなことを言った。


「たしかにね」

「わたしもしたい」


 俺とサユも月の意見には同意だった。


「じゃあこれからヒロの家に行こう。月も一緒に」

「私も?行っていいの?」

「全然大丈夫だよ。みんなでゲームしようか!!」


 テスト前にどうなのかと言われそうだけど、俺たちは気にしない。

 気に……。


 …………。


 乃愛のあに怒られるのはやだな……。


「あのサユ、月……」

「なに?」

「どうしたの?」

「ゲームもいいけど、勉強……教えてくれない?」

「「あっ」」

「忘れてたとか言わないよね!?」


 学生の本分は勉強だよ!!

 そこ!ブーメランとか言わない!!


 それからみんなで俺の家に向かった。

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