ゲーム人生ぷらすリアル人生

小倉桜

プロローグ

プロローグ

「…………」


 足音は聞こえない。


 でも、たしかに気配はある。


 どこから俺を狙っているのか……。

 右か、左か、正面か真後ろか。


 ――ビリッ。


 その時、俺の頭に電流が走るような衝撃が訪れた。


「っ!」


 スパンッ!


 俺は相手の頭をスナイパーライフルで撃ち抜いた。


「よっしゃ!!」


 画面には大きな文字で"WIN"と表示されている。


 俺はコントローラーを置き、生放送のチャンネルを開いた。

 そこでは、実況者が現在終了したゲームの報告をしている。


『決まりましたね』

『そうですね。今回も先月に続き"オールランドゲーマーズ"五十六位を守り抜きましたねー』

『というわけで勝者は五十六位の"カケル"選手でした』

『これで五十六位は"カケル"選手に確定となりましたー。どうやらほかのところも対戦が終わったようです』

『そちらに切り替えてみましょう――』


 俺は生放送のチャンネルを閉じた。


「よっしゃーー!!守り切ったぜ五十六位!!」


 今月も俺は"オールラウンドゲーマーズ"……。

 通称"オルゲ"の五十六位を守りきった。


 "オルゲ"とは簡単に言うと、いろいろなゲームで対戦する人たちのことを指す。

 実際にあるゲームをこちらと対戦相手で選択して、それぞれ対戦を行い、引き分けだった場合は順位が低い人がもう一つ対戦するゲームを選べる。


 たとえば、序列九十九位のこちらがFPSゲームを指定して、バト〇フィールドを選んだとする。

 そして、序列百位の対戦相手が格闘ゲームを指定して、鉄〇を選んだとする。

 それぞれのゲームをして、先に二回勝つと勝利になる。

 もしも引き分けた場合は順位の低い対戦相手がもう一つゲームを指定するということになる。

 ほかにもルールはあるが、その話はまた次の機会にでも。


 そんな"オルゲ"の五十六位である俺はゲームがとても大好きだ。

 ここ数年人気になり始めた"オルゲ"にも登録して、たくさんのゲームと対戦者を求めるくらいには。


 それでも、俺はもう高校生になっていた。

 これからは、ゲームをする時間が減ってしまうのではないか。


 そう、思っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る