顧問を捕まえろ!!
第14話
「オレじゃ絶対無理だって!だから
「うちかて無理よ!
「ちょっと眞智先輩、久美先輩落ち着いて……」
「
「はい……」
「どんまい、ヒロ」
現在部室では眞智先輩と久美先輩の大喧嘩が開催されていた。
どうしてこうなったのかは数分前に遡る……。
※※※
「顧問が必要なことを忘れていた……」
「せやね……」
俺たちは職員室から出て、家に帰って生放送の準備をすると言い出した
どんよりした空気を連れて。
部員が見つかったと思ったら今度は顧問か……。
もうこのまま顧問を見つけたら次の問題がわかって、永遠に部活動にならないんじゃないかと思えてきた。
「まぁ誰かに掛け持ちしてもらうしかないよなぁ」
「俺もそう思います」
この学校はとにかく部活動が多い。ほとんどの先生が部活動の顧問を掛け持ちしている。
顧問がいないのは部活動ではないとわかったのでその辺は知らない。
噂だと、どこの部活の顧問もしていないという教師がいるらしいが本当だろうか。
「期限までまだあるし、今日はもう時間があらへんからここでゆっくりしていきまひょ」
「そうだな~。せっかくだしなんかするか」
「何するんですか?」
「何も準備しなくてもできるのがいいな」
「ウミガメのスープ」
「桜雪ちゃん、それって何?ゲームなん?」
「うん」
ウミガメのスープ。
正式には水平思考パズルという名前の推理ゲームだ。
出題者がある謎めいた事件を語り、ほかの人はそれに対してYESかNOで答えられる質問をしていき、その事件の真相を解明するものだ。
「面白そうだな。やろうぜ」
「いいね!みんなでやりまひょ!」
「サユ、問題出せる?」
「もちろん。だから提案した」
「じゃあお願いね」
「りょーかい。じゃあいくよ?」
そうして、サユが問題を語った。
【ある組織が作られた。しかし、その組織はしばらくするとなくなってしまった。なぜか?】
ふむ。ある組織か。
「これってどういう質問したらいいんだろうな?」
「うちに聞かれてもわかれへんよ」
「任せてください」
「おう、最初は任せた!」
「それでは、おほん。その組織は微生物の組織ですか?」
「No」
違うのか。
「細胞やウイルスですか?」
「No」
これも違うと。
それじゃあ人間なのかな?
「桜雪、その組織にいるのはみんな人間か?」
「Yes」
考えてたら久美先輩が質問をしてくれた。
みんな人間ってことは例外はないってことだな。
ふむ……。
「組織がなくならはったんはみんな死んじゃったから?」
「No」
「その組織がなくなる前のしばらくって間は活動してたのか?」
「いい質問。答えはNo」
活動してないのか。
じゃあ組織ができてから一回も活動しないままその組織はなくなってしまったことになるのか。
「その組織はなくなることを前提に作ったの?」
「No」
「じゃあ活動の内容が行動に移す前に解決していましたか?」
「No」
活動をしていないってことは自然消滅なのだろうか?
「内部要因でなくなったの?」
「Yes」
「人間関係でなくなったん?」
「No」
「利害関係か?」
「No」
「みんなの意見が違ったとか?」
「No」
う~ん……?じゃあなんで内部要因で消滅を……?
「人数が集まらなかった?」
「No」
「拠点がなかったとかどうだ?」
「No」
「そもそも、目的のある組織やったん?」
「Yes」
目的のある組織……。
あっ。
「その組織はテロリスト組織ですか?」
「Unknown」
「えっ?」
「ふふふ」
「営利組織やったん?」
「Unknown」
「えぇ?」
Unknownということは関係ないのだろう。つまり、組織が何であろうと関係なく自然消滅させる何かがあったということ?
「目的を解決する手段がなかったとかか?」
「No」
う~ん……。目的を解決することに必ず必要なものってなんだろう?
お金?時間?でもそれだった人が集まらないか。
時間がなかったのならそもそも組織を作ろうとしない。
目的を果たすために、組織は協力をしなければならないだろう。
それこそ、みんなをまとめて引っ張っていく人が……。
ん?まさか、リーダーか?
「サユ、その組織にリーダーはいたの?」
「んっ。答えはNo」
「そうかぁ……」
なるほどわかった。
「リーダーがいないだと?」
「ちゅうことはつまり……」
「もうみんなわかった?」
「つまり、答えはこうだねサユ。リーダーがいなかったから組織をまとめて引っ張っていく人が存在しなかった。まとめる人のいない組織は自然になくなる。それによる自然消滅が答えだね」
「正解。おめでとう」
ふぅ~……。解けたか~。
みんなでやると楽しいもんだね。
「そっかぁリーダーかぁ……」
「リーダーはいるもんやと思ってしもたね」
「ちゃんと問題として成り立ったみたいでよかった」
「楽しかったね。いい時間にもなったし」
「そうだな!」
あとは片づけをゆっくりしてれば時間的にちょうどいいだろう。
「組織にはリーダーが絶対……必要……だもんな……?」
「そうやね!組織には絶対リーダーが……」
ん?先輩二人がフリーズしたぞ?どうしたんだろう?
組織にはリーダーが必要とか言ってたけど……?
組織の……リーダー……?
「「「ああああああああああ!!!!!」」」
「っ!」
俺と久美先輩と眞智先輩が同時に叫んだ。
サユが珍しく誰が見ても驚いてるとわかるくらいびくっとなったのがかわいかった。
ってそんなことより!
「そうだよ!リーダーだよ!オレたちには部長も必要なんだよ!」
「またやり直しになるとこやったね!急いで久美の名前を書かないと!」
「ん?」
「えっ?」
あれ?なんだこの二人の間に漂う不穏な空気は。
「オレが部長に?おいおいバカなこと言うなよ。そんなの無理に決まってんだろ?」
「あらあらあら。そちらこそ何を言うてるんかいな?うちが部長?無理無理」
「オレの方が無理だよ!」
「うちの方が無理や!」
えぇぇぇぇぇぇ!?何この喧嘩!?
「オレじゃ絶対無理だって!だから眞智がやってくれよ!」
「うちかて無理よ!久美がやってよ!」
「ちょっと眞智先輩、久美先輩落ち着いて……」
「大翔は黙ってろ!」「大翔くんは黙ってて!」
「はい……」
「どんまい、ヒロ」
誰か助けてくれぇ……。
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