本編

プロローグ、或いは巻頭歌

至上者いとたかきのもとなる隠れたるところに住まふそのものはあるじの陰に宿らむ

われひのたつのことをのたまひて

ひのたつはわが避所よけどころ わが城 わがよりたのむ神なりと言はむ

あるじはなんぢを惡辣のわなと疫よりたすけいだしたまふべければなり


あるじそのつばさをもてなんぢをおおひたまはむ

あるじその爪牙そうがをもてかれとなんぢをかくしたまはむ

なんぢその翔のもとに隠れ

なんぢその爪牙のうしろに佇む


そのまことたてなりこだてなり

夜は恐るべきことあり

ひるはとびきたる矢あり

幽瞑くらきにはひた歩む疫癘えきれいあり

日午ひるにはそこなふはげしき疾病やまひあり


されどなんぢおそるるなかれ

千人はなんぢの右にたふ

万人はなんぢの左に斃る

されどかれとその厄災わざわひはなんぢに近づくことなからむ


なんぢのまなこはただこの事をるのみ

なんぢかれら惡者あしきのむくいを見む


 ――旧訳聖龍句 一の章四の段より抜粋

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