設定編その二:用語集

※開示される内容の一部に裏設定を含みます。

※随時加筆・修正されます。

※何となく関連順に並んでいます。


・常界(じょうかい)、異界(いかい)

 この世界の一般的な呼称。

 主人公達の住んでいる方が常界、それと隣り合っているのが異界。どちらにも相応の文明が存在しているが、異界の方はより弱肉強食の価値観が強い。

 互いの世界の概念・物体の性質がいくつかが反転している。例えば常界の空気は異界のものにとっての猛毒であり、異界の風邪は常界を滅ぼしかねない疫病となり得る。逆もまた然り。

 あまりにも互いの距離が近いため、特に時空の接している場所では、術を使って世界間を繋げる『孔』を開けることが出来てしまう。


・上位存在(じょういそんざい)

 あらゆる事象・事物に宿り、その維持・淘汰を司る者達。また、その司る事象。事象の数だけ存在する。個々の数え方は「はしら」。常界にも異界にも同じように存在するが、中には生まれた世界の居心地を嫌って移り住んでいるものも。

 事象を創生する権限を持つ「神性しんせい」、事象の維持・淘汰に携わる「神霊しんれい」、神性と人間達との間を取り持つ「精霊せいれい」及び「妖精ようせい」の四つに大別される。

 彼らにおける、いわゆる種族名は「あざ」と呼び表され、個人の名とはまた区別される。

 極めて壮健な存在だが、殺して死なないわけではない。


・本御魂(もとみたま)、分御魂(わけみたま)

 ある上位存在が、何らかの理由で作り出した自身の分身。分身が分御魂、作り出した方が本御魂。出来ることは分御魂も本御魂もほぼ同じだが、権能の及ぶ範囲は前者の方が狭い。分御魂ごとに少しずつ違う権能を分散して持たせることもあり、本御魂に比べると万能の感は薄くなる。

 司る事物が多い、または司る範囲が広範囲に及び、どちらにせよ神官や眷属では手が足りないときに生み出されることが多い。が、中には眷属ばかり滅多矢鱈に増やす上位存在も多く、分御魂を生み出すかどうかは上位存在の気分的なものの関与が強いようである。

 大雑把には親子の関係に似ており、上位存在自身もそのように認識している。


・加護(かご)、庇護(ひご)

 上位存在から人間等の下位存在、或いはより上位の神性から下位の神性に与えられる、その神性の権能の一部。加護は特定の個人に対して、庇護は家系や地域と言った不特定多数か土地に与えられる。

 与えられた権能、またはそれによって引き起こされる現象は恩恵と総称される。一般的に庇護よりも加護のほうが恩恵の強度が高く、種類も多岐に渡る。


・権能(けんのう)

 上位存在やその神官が持つ、世界の理を書き換えるための資格。またその資格に付随する、書き換える際に必要な術や聖句などのひとまとまり。能力などと言い換えられることもある。


・神官(しんかん)、加護持ち(かごも-)

 いずれも、上位存在の持つ権能を委譲された個人のこと。

 より厳密には、加護を与えた神性との契約を行い、神性の伝令者として認められた者を神官と呼んでいる。上位存在の側が勝手に特定の人間を気に入って与え、その結果加護を得た者については加護持ちとだけ呼称されて区別される。

 与えられた権能の数、または強度により九段階に大別される。



・霊気(マナ/れいき)、霊力(オド/れいりょく)

 この世界に満ちる要素、或いは力の一つ。その性質は変化。この世界に於ける様々な進化・変化の原動力で、上位存在は霊気マナ霊力オドの塊のようなものである。

 空気中などに存在する無秩序なものを霊気マナ、体内に存在する方向性の揃えられたものを霊力オドとそれぞれ呼称する。霊気マナは万物が必ず保有しているが、霊力オドに関してはあってもなくても個体の生存にはそれほど関わらない。ただし、術を使ったり上位存在と交信するためには、霊力の取り扱いは不可欠な素養である。

 種族や物性によって霊力マナの取り込み量や検出感度が異なり、その特性がそのまま術の得手不得手にも関わる。


・霊力環(れいりょくかん)

 霊気マナ霊力オドに変換する、思考するもの全てに備わる特殊な変換回路。数千-数万の介在ニューロンが脳の表層をぐるりと一周するようにシナプスで連絡しあい、延髄の部分で別のニューロンとシナプスしている、特異な形状の神経回路。「頭の中で発生した意志の力により霊気マナの方向性を揃え、霊力オドに変換する」と説明はされているが、詳しい機構は技術不足により分かっていない。

 霊力環を構成するニューロンの数は一度に変換できる霊力オドの量と綺麗に正比例しており、従って霊力環の強度がそのまま術遣いとしての才能の高さとも言える。

 この神経回路を発見したのは器族だが、発見者である器族には霊力環が存在せず、したがって霊力オドを消費する術は使えない。ただし、霊力オドを全く産生していないかと言えば、実のところそうでもないらしい。


・術(じゅつ)

 自身に宿る霊力オドを消費して起こす不可思議な現象の総称。厳密に言えば、霊力オドを用いて目的の上位存在と交信・交渉し、上位存在によって事象が書き換わった結果を指す。事象を起こすこと自体は上位存在の力によるので、自身の霊力オドではなく金銭や物品、或いは自身の血肉を使って交渉することで似た結果を起こすこともできるが、一般にそのような手法が使えるのはごく簡単な術に限られる。

 火種の代わりにしかならないようなものから山を丸ごと吹き飛ばすような大神術まで、使える種類は多種多様。上位存在自身が使うこともあれば、加護の恩恵として下賜される術もある。また、行使の方法や流派も実に様々。

 その全てに、上位存在との交信に用いるための聖句せいくが設定されている。使われる言語は予め決まっており、また発音の意味を知っていなければ術として成立しない。


・魔物(まもの)

 霊気マナの影響によって生物や地形が変じたものの内、現在の世界に害を成すと認定されたもの。変異した箇所が外見か内面かは特に問われず、敵対の意志の有無のみで判定される。

 多くの魔物が独善的かつ排他的。魔物の性質にもよるが、多くは他者の生活圏や生態的地位ニッチへ侵入・侵害してくる。当然人やものに被害を与えるため、積極的な排除の対象。ただし、術を使いこなす程度には知能の高い魔物も多く、掃討にはそれなりの実力がいる。

 霊気マナの集積によって偶発的に発生するため、多くの魔物がその一個体しか存在しない。が、中には条件さえ揃えば同じような性質のものがぞろぞろ湧き出す場合もあり、そのような魔物には識別名が付けられている。



・人間(にんげん/ヒューマン)

 所謂「人間」とか「人族」として括られている種族の祖。

 思考する二足歩行の生物という点は、一般に言われるホモ・サピエンスと同じ。ただし、一度進化論的に下等生物から進化した後、一旦世界ごと滅びて上位存在に作り直された経緯を持つ。

 群体としての適応力と多様性、そして繁殖力に特化した、維持繁栄の権化。どんな場所でもどんな環境でも、いかなる泥臭い手段を使ってでも生き延びる剛健さを持つ一方で、個々としての力は他ほどに長続きしない。人族とされる種の中ではもっとも平均寿命の短い種族。

 術使いとしての適正はあらゆる術に於いて平均を叩き出す。また、人間独特の特質として、瞬間的な火力は極めて高いが、維持できる時間と操作性に欠ける点がある。


・器族(ヒュージェクト)

 異界を故郷とする、人間に似た種族。

 人間ヒューマンの身体に様々な器物オブジェクトを頭としてくっ付けたような、いわゆる異形頭と呼ばれる姿をしている。何処からどう見てもものを見たり聞いたり食べたり出来る外見ではないのだが、一応人間の顔面と同じような概念はあり、飲食も普通に可能のよう。人間の使う道具に似た頭を持って生まれる者もしばしばいる。

 種族全体の特徴として、人間よりも力が強く、また遅老長寿。加えて卓越した頭脳を持ち、多くの学問や技術の開祖となる等、文武両道の高スペック種族。非常に温厚で人の好い者が多く、答えの出ない争いごとや糧を得る以外での殺生を嫌う。その為、多くの器族は人の多い場所を避け、山奥や荒れがちな海の傍などと言った僻地で暮らしている。そのような場所でも平然と暮らしていけるだけの知識があると言い換えてもよい。

 人間と器物の性質が混在している都合から、霊力環が体内から欠けている。その為不可視の上位存在を感知できず、また霊力を消費する術は行使出来ない。身体が頑丈なので、血肉を対価とした術の行使や加護の譲受を行うことは出来る。


・森霊人(エルフ)

 常界に暮らす人間の一種。太古に森の精が人間と血を分けた末裔。

 色素の薄い肌と尖った耳、華奢な体格が特徴。妖精の末裔であるためか、揃いも揃って美形しかいない。多くは緑や浅葱と言った、人間では出ない髪や目の色をしている。

 容姿がやや不可解なことと数が少ないこと、並外れて遅老長寿なこと、そして地術・水術への適正が高いことを除けば、それ以外の身体的・文明的特性は概ね人間と同じ。絶対数が少ないので、数~十数家族単位で小さな村落を作っているか、人間に紛れて暮らしていることが多い。


・旧霊人(フェイ)

 常界に住む人間の一種。北方の火山地帯に暮らしていた、火の精と人間の混血児。

 燃えるような赤い髪と目を持ち、火術に対してずば抜けて高い適正を持つ森霊人エルフと言った風情。非常に古い種族であり、長い歴史の中で人や森霊人エルフ闇霊人ダークエルフと交わった結果、純粋な旧霊人フェイは遥か数百年前に姿を消してしまった。ただし、現在でも時折先祖返りの形で旧霊人フェイの形質が出ることはある。


・闇霊人(ダークエルフ)

 人間が異界の影の精霊と交わった末裔。多くが異界で暮らしている。

 尖った耳や細身の体型は共通しているが、肌の色は褐色。銀や金の髪に寒色の瞳を持ち、例によって美形ばかり揃っている。寿命は森霊人エルフと同程度。

 異界暮らしの者であるからか種としての特性か、全体的に思想が過激で好戦的。信仰にのめることが多く、崇拝する神の言いつけに従い、「聖戦」と称して常界に攻め入ることも多い厄介な人族。なまじ術遣いとして優秀なだけに“門”を強引に開けてしまえる者も多く、常界の上位存在としては頭を悩まされる種族である。


・鉄小人(ドワーフ)

 常界に暮らす人間の一種。金工鍛治の精と血を分けた人間の末裔。

 筋肉質な人間を上から押さえて縮めたような、常人の半分ほどしかない矮躯とがっちりした頑丈な体格が特徴。火を扱ったり炭鉱の塵を被ったりすることが多いからか、男性は概ね髭も髪の毛ももじゃもじゃしている。女性の方は反対に小奇麗で若々しい。

 炭鉱跡や鉱山の掘削孔等の狭い洞穴を住居としており、故に「夜道も千よう見通す」と称されるほど暗視の力が高い。一方で明るい場所は不得手らしく、平地へは夜にしか降りてこない。モグラのような生活を営む種族である。


・龍/竜(りゅう、ドラゴン)

 常界、異界の双方に暮らす生物。元々は上位存在である龍が先であり、龍が己と姿の似た生物と交わった結果生まれたのが竜。爬虫類や哺乳類とは網の時点で独立している。

 その姿は「様々な生物を一つに合わせたよう」と評され、宝石のような頭角と翼、細長い瞳孔を持つ眼以外の共通した形態的特徴は少ない。大雑把に爬虫類(トカゲ目)に似たものと、哺乳類ないし鳥類に似た特徴を持つもので二つに分類されているが、その中に入らない特徴を持ったものも山ほど存在する。

 起源の関係上、全ての竜はその祖となる龍の神官であり、祖龍の権能を操ることが出来る。



・頂(ちょう)、鷹(よう)、小義(しょうぎ)、風仔(ふうし)

 この世界に於ける長さの単位。一頂はおよそ一キロメートル、一鷹は一メートル、一小義は一センチメートル、風仔は一ミリメートル。

 それぞれある山の麓から頂上までの直線距離、鷹の翼開長、アリの体長、ノミの体長の平均長からの算出。光速から算出したものよりも僅かに長い。


・石刻(しゃっこく)、礫流刻(れるこく)、砂流刻(さるこく)、滴刻(てこく)

 この世界に於ける時間の単位。いずれも光速で算出したものよりも長い。

 一石刻=約一時間、一礫流刻=一分、一砂流刻=十秒、一滴刻=一秒。

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