二十四:勧誘

 チハヤの朝は早い。


「チハヤぁ、解体はよそでやってよね」

「すんませんでした」

「その獲物くれたら許すね」

「それはもう胸でも腿でも」


 絶えぬ縁の火ヴェスタの力によって暖められた洞穴で一晩中見張りに立ち、夜明けを待たず起き出してきたチフユに見張り番を任せて、フウとちまきを抱き枕に少しの仮眠。きっちり一石刻しゃっこくでしゃっきりと目を覚ましたかと思えば、同じくぱっちりと飛び起きた仔龍達を連れて洞穴を抜け出した。

 一石刻しゃっこく半後、何やら獣の血の匂いが漂い始めて様子を見に行けば、仕留めてきた氷鳥ひどりを洞穴近くの川で捌いている狩人たちを見つけ、今のお説教に至る。

 肉を譲ってこようとするチハヤには、滋養のある内臓の方が欲しいとけらけら。腑分けされたばかりの湯気立つ臓物を丸ごと咥えて、父竜はのっそりと翼を広げた。そこに今まで肩の上に付き従っていたフウが駆け寄り、定位置らしい頭の上までよじ登る。どうやら退去するらしいと察して、チハヤは水筒に水を汲み入れ、臓物の抜かれた鳥を冷え切った川の水に沈めながらチフユを見上げた。


「朝飯?」

「そんなとこだね。キミたちはまだ居る?」

「ん、昼になってから下りるよ。今日は夜まで荒れなさそうだし」

「りょーかい、洞穴は自由に使っていいからね。帰るときは焚火ちゃんと消してってねー」


 のほほんと言って、チフユは仔と共に舞い上がる。当然起こるはずの風は、しかし白竜の操る権能により、者共へ届く前に自然と避けて虚空に溶けた。

 羽ばたき二回。あっという間に雲一つなき晴天に飛び去る親子の背に、チハヤは手を振りながら声を掛ける。


「ありがとうな、貸してくれて!」

「お構いなーくー。フウの面倒見てくれたお礼だからねー。それじゃまたー」


 声と、手の代わりにふりふり揺れる尻尾を挨拶として。

 氷山の主は悠々と頂の方角へ消え、狩人は雲間に翔けて行った白竜を見届けてから、のんびりと解体の続きへ戻っていった。



擬金剛ぎこんごう一欠片、醒酔花サマヨイバナの花弁一枚、薄荷ハッカ一枝、氷竜胆ヒリンドウの実一つを井戸の底から汲んだ水に浸け、霊力オドのない奴は更に翠玉貨すいぎょくか一枚と水宝玉アクアマリンの上等な欠片を一つ沈めて……」


――三日三晩、最も陽当たり風当たりの良い場所で陽と月の光を浴びせる。使う時は丸ごと火にかけ、その煎じた汁を冷ましてから飲ませること。

――高山酔いの薬よ。貴方には必要ないかもしれないけど、これからも山に登るなら一応用意しておきなさいね。


「へぇへぇ有難い忠告どうも。でも氷竜胆はこの時期手に入んねェぞ」


――乾物でも十分よ。無いなら無いでも結構、色の濃い水宝玉アクアマリン青玉サファイアか、どうしても無いなら眩草クララの根を小指の先一欠片だけ。

――氷に似たもの、酔い覚ましの草、気付けの草、それから力を貸そうとする上位存在わたしたちへの対価。この四つがこの薬の本質よ。気付けは薄荷だけでも事足りるから、それ以外で補えばいいの。分かるかしら?


「そんなもんか? 随分緩いじゃねぇの。薬師の薬はもっと厳格なんだけどな」


――だって、あれは量を減らした毒だもの。毒が基礎の薬は理屈っぽくてね、途中の道筋をちゃんと辿らないと正しく動いてくれないのよ。

――でもわたし達が作るのは霊力オドの塊。過程を飛ばして結果だけを持ってくる薬。最後が同じになるなら何だっていいのよ。


「ふぅん」


 解体を終えた肉と、狩りの道すがら集めてきた薪。朝の成果をそれぞれ両手に携えて戻ってきた狩人が聞き付けたのは、いつになく真面目な調子で語らう漁師と精霊の声だった。

 昨日の約束を本当に守る気らしい、カザハネは自前のランタンに落とした灯の下でまだ新しい中質紙の束を広げ、ほそほそとした竃の精の言葉を逐次文字へと起こしている。狩りと解体にかけたほんの二石刻しゃっこくほどで、一人と一柱の勉強会は随分と盛り上がっているようだ。

 足音と気配を消し、色濃い影にそっと身を寄せて、しばし観察。話す内容は医術や生存術に根差した霊薬れいやくの処方から、製薬に関わる上位存在達、そして上位存在にまつわる神話と逸話へと移り変わってゆく。

 創世記の話が出始める頃には、寝入っていた他の修士生達も起き出してきていた。


「その言い草だと、魔物にも崇拝対象かみさまがいるのかしら」


――しょくの御夫妻ね。今でも魔物の聖句こえを聞いて願いを叶えてるわ。炎龍王さまにけちょんけちょんにされてからは大人しくしているみたいだけど。

――でも困ったものだわ、蝕の御夫妻ってばお人好しが過ぎるのよ。神代かみよの時も魔物に散々加護を与えて、常界こっちは危うく世界滅亡の危機よ。


「せ、世界滅亡って、ちょっと。それお人好しで済む問題なの……?」


――勿論やりすぎた罰は与えられたけどね。御夫妻の宮が無かったら星の采配がおかしくなっちゃうもの、それ以上のお咎めはしても無駄よ。

――それに、魔物だって滞った力を方々に散らす大事な循環の一つ。さっさとその場で倒されたら、そこに霊気マナが澱んで均衡がどうかしちゃう。だからある程度強くて彼方此方に移動できる魔物もいないといけないのね。


「魔物ってそんな意味あったんだ……」


 ところで。

 器族は、時に『異界の賢者』だの『学術種族』などと呼び表される一族である。術を使う器を持たぬ代わりに類稀な記憶力と集中力を持ち、術に頼らぬ多くの学術的・文化的行動に於いて彼等の右に出る者はいない。生まれついての探求者、或いは科学者なのだ。

 そして、上位存在ともだちと慣れ親しみ、その権能を自在に発揮し得るチハヤにも、賢者の血は流れている。つまるところ好奇心旺盛で、興味のあることにはついつい集中力を注ぎ込んでしまう性質たちであり――


「ぅきゅーん、うぅ〜」

「――――」

「ゔぐるるる……チーハーヤー!」

「ぐぅっ!? ちっちまっ、何を、ゲフッ!」

「ひま〜! チハヤどーぞーちがーう!」

「ど、銅像? 何だそれっぐふぅっ! ちょっ止めっ、ちまき、分かったよ、分かったから! 戻る、皆の所に戻るから許しごはぁっ!」

「うぎゅー……」


 可愛らしく繰り出した渾身の構って攻撃アピールを無視され、業を煮やしたちまきが心血紋に頭突きをお見舞いするまでの、実に一石刻しゃっこく。チハヤは一言も発することなく、黙々と精霊の話に聞き入っていたのであった。



「ちまきー」

「あ~んっ」


 本日の朝食。氷鳥の腿肉の香草焼きに、胸肉と山菜と茸をたっぷりの山羊乳で煮込んだ熱々のシチュー。ついでに、軽く火で炙って乳酪バターを落とした携帯用の黒パン。そこに少量ながらも赤葡萄酒ワインも添えて、滴る涎を隠そうともしない遭難者どもへと振舞う。

 早速争奪戦が始まる焚火の傍からやや離れ、体温の高いちまきを暖の代わりに膝へ乗せながら、チハヤは予め取り分けておいた多めの朝食を仔龍と分け合った。

 冬越しの為にたっぷりと蓄えられ、春になっても未だ尽きぬ脂の滴る腿の肉。香草類の香りが立ち上る一欠片を、差し出したフォークごと頬張って、ちまきはうっとりと目を細めながら尻尾を振りたくる。この幸せそうな仕草を見る度に、やはりこの仔龍から食事を取り上げる選択肢はないのだと、チハヤはつくづく思う。

 とは言え、ちまきは地龍。今はまだ尻尾の先まで含めても一ように満たぬ小さな仔であるが、これから先は人どころか村をも背負う巨龍に育っていくのだ。そうなった時、食欲までも山の如く膨れ上がってしまったら、一体全体どうやって躾けてくれようか。そもそもそこまで大きくなった後に言うことを聞いてくれるのであろうか。

 今度はこっち、とばかりシチューの皿を鼻先で押し付けてくる仔龍を眺めながら、狩人は今から備蓄の算段を練りなどし。

 滋養を入れて一層暖かくなった地龍を撫で撫で、ゆっくりと朝食を摂る横から、二つ分の足音が近づいてくる。


「チハヤさん、隣いいですか?」

「一緒に食べるよー」


 木の深皿と葡萄酒入りの木杯マグを手にした金髪の青年と、骨つきの鳥腿肉を咥えた四翼の雷竜。サレキとテイカである。焚き火の方ではまだまだお代わりの争奪戦が続いているが、抜け出してきたらしい。

 チハヤは特に何も言わず、ただ地面を叩いて座るように促した。失礼します、と丁寧に断りをいれてサレキは腰を下ろし、テイカはと言えば、脂滴る骨つき肉を齧ることに余念がないらしい。テイカの差し向かいに座り込み、びたんびたんと尻尾で地面を叩くばかり。あまり行儀の良い食べ方ではないが、狩人はひとまず気にしないことにして、うずうずしている仔龍へシチューを一口食べさせた。

 幸せ一杯、と言った風に目を細めているちまきを撫でてやりながら、自身も一口。釣られるように、隣のサレキも深皿からシチューを掬い取る。


「僕、テイカから聞いたんです。チハヤさんを背に乗せて、花の魔竜をやっつけてやったって」

「倒したのは主にカザハネだけどね」

「知ってます。チハヤさんの弓矢で樹華竜ファーガスもどきが倒し切れるなんて思ってないですから。この仔見栄っ張りなんです」

「……なぁ、魔竜退治の報奨金であの家が建ったって言ったら信じる?」


 突然の爆弾発言。危うく朝食を差し向かいの相棒へ吹き付けかけ、慌てて押し止めながら、サレキは信じられぬと目だけで訴える。しかし、チハヤの表情は読む余地もなし。分かるとすれば彼と契約している地神龍フラクシナスの顔くらいだが、その神龍はと言えば、にこにこと無邪気に口の端を釣り上げている。どう言う種類の笑みなのか、サレキには判じかねた。

 何とかして口の中のシチューを喉の奥に送り込み、葡萄酒で濯いで一息。いやまさか、と開口一番否定を紡いだ青年に対して、チハヤはぐいと服の右袖を引っ張ることで応じた。

 露出した腕には――恐ろしく深い咬み傷が残っている方もサレキ的には気になるが――茨宮村じきゅうそんの守り神、もとい地神龍フラクシナスが彫り込まれた、銀の腕輪が一つ。龍の角と目にはそれぞれ琥珀と翡翠が留められ、腕輪の中の守護神は、吸い込まれそうなほどに透き通った紺碧の宝珠を抱いている。

 そして、人間たるサレキには分かった。

 龍の護るこの宝珠は、紛れもなく、魔物の中核を成していた霊石であると。つまるところ、狩人は霊石が遺るほどに強大な魔物と戦い、そして勝利した経験があるのだ。

 それを裏付けるように、チハヤはてらいもなく語る。


「俺が十五の時に仕留めた魔竜から出てきた霊石だよ。あの時は確か、核に一発と頭に三発だったっけ」

「えぇー……それ、チハヤさんがあの魔物も倒せば良かったんじゃないですかね?」

「まあ、あの時は何となく」


 無造作に言って、またシチューを一口。ちまきはもう満腹か、胡座の中に丸まって膝掛けのように翼を広げ、膝の上に顎を乗せている。

 眠たそうに目を瞬かせる仔龍をそっと撫で、狩人は静かにサレキの反応を待った。唖然としていた青年は、チハヤが黙り込んだことでようやく続きを待たれていることに気付いたらしい。気付け代わりに皿の中身を流し込み、葡萄酒を飲み干した勢いのままに言葉を連ねる。


「テイカが言ってたんです。チハヤさんに任せて空を飛んだ時、凄く飛びやすかった。絶対龍乗りになった方がいいって。……テイカは確かに、どんな人でも背に乗せて飛べる。でも、飛びやすいなんて言う仔じゃないんです」

「すっごーく飛びやすいよー! ホントに全部任せちゃったのわっち初めて!」


 己が主人の言葉を半ば遮るように、テイカは目をきらきらさせながら声を上げた。いつのまにか骨つき肉は骨までも姿を消し、滴る脂までも綺麗に舐め取られている。

 サレキの食べる分の肉は残さなくて良かったのだろうか、と。内心に抱いたチハヤの心配を、雷竜は知るよしもない。口の周りに付いた脂をぺろりと舐めながら、んふんふと妙な笑声を零すテイカに、狩人は少しばかり首を傾げた。


「任せろって俺が言ったアレのこと?」

「そー。サレキは背中見えてないから、背中はわっちの仕事。全部お任せなんて怖くて出来ないよぅ」

「そんなもんかなぁ」

「まぁーカザハネとかはお任せ出来るかな? でもカザハネは龍乗り長いから。初めて乗った人でお任せ出来たのはチハヤ初めて」


 素質あるよ、と。元気よく結論付けたテイカの言葉を接ぎ、サレキは小さく頷いた。


「チハヤさん、学院カレッジに来ませんか?」


 狩人は、しばらく何も言わなかった。

 その代わり、膝の上で丸くなり眠る仔龍の首を、慈しむように撫でた。


「俺は、ただの狩人だよ」


 返答ならぬ言葉が溢れたのは、それから少しした後の話。

 不安げに見つめる青年と雷竜を置いて、チハヤはじっと手元を睨みながら続けた。


「俺は糧を得る為に命のやり取りをする。得た糧を守る為に暴力も振るう。その為には鍛錬もすれば勉強もするさ。でも、それだけだ。鏃の先を意味もなく人に向けたくはないし、糧にもならないものを射るなんて俺は嫌だし、俺が嫌なことをちまきにさせたくもない。戦争なんて絶対行かないし王族の護衛だってやる気はない」

「チハヤさん!」

「なるほどサレキ、お前は竜騎士じゃない。竜に乗れる素質があるって理由だけで学院カレッジにいるんだろうな。俺もお前みたいに、ただ勉強して一般教養を身につける目的で学院カレッジ通いする道もある」


 じゃあどうして。非難さえ込めたサレキの悲鳴を、チハヤはいつになく低い声で遮る。


「学院は貴族様の学び舎だろ? 俺みたいな山暮らしの兼業猟師みたいがのこのこ出てきてみろ、嫌がらせと権威自慢マウンティングが降ってくるに決まってる」

「そ、それは……でも、カザハネ先輩は」

「カザハネは真正面からねじ伏せられる力と度胸があるから何とか出来てるだけだ。俺はそこまで図太く出来てないよ」


 それに。

 腰鞄から煙管きせるを取り出し、中に火を入れながら、チハヤの声色はいよいよ沈鬱なものを帯びる。

 吐き出された甘い香りと藤色の煙が、続く声と寄せられた上位存在の悪戯に揺れた。


「村の成り立ちや地理は父さんに教え込まれた。礼儀作法は母さんに叩き込まれた。爺ちゃんには命のやり取りの仕方を仕込まれた。爺やが上位存在ともだちの声と付き合う方法を教えてくれて、獣避けの霊薬の作り方を夜灯から教わった。迷った時に見るべき星は金月が教えてくれたし、獣に噛み付かれた傷は茨藻が治してくれた。……今更何を、人間から教わる必要があるんだ」

「竜乗りに必要な知識は、ここじゃ手に入りません。龍鞍りゅうあんだって、僕達が来なかったら構造を知るのはもっと後になってたと思います」

「まあ……それはね。でもさ、それを知る為だけに高い金払って山下りなきゃいけないのか? 勘弁してくれ、俺ん家は貧乏じゃないけど裕福ってわけでもないんだぜ」

「返済義務のない奨学金って手も」

「それこそ本当に必要なのが他にいるんじゃねぇのかよ……」


 言葉を重ねども、チハヤの回答は一向に色好くならず。何とか説得を捻り出そうと唸るサレキの後を継ぎ、テイカが思いついたように声を発する。

 サレキはひどく意地の悪いものに集られている。その一言を、チハヤはさとく聞きつけて意識を傾けた。


「サレキねー、シャクイ爵位って奴? そう言うの持ってないよ。ビンボーな北の村から出てきた農民。竜乗りの人は仲良くしてくれるけど、馬乗りの人は意地悪言う人多い」

「騎士のことか? 騎士はまあ、世襲制だし貴族は多そうだけど」

「そー、キゾクキゾク。でー、サレキってひ弱じゃん? 意地悪が言葉だけならいいの、聞こえないようにするだけ。でもさ、鉄のうろこ付きの手とか脚が飛んできたらわっち無理無理! バリバリシビシビに出来ちゃえば良いけど、おキゾクサマに傷つけたらわっち帰る場所なくなるとか言うんだもん!」


 うがーっ、と鋭い歯を見せながら咆哮するものの、仔竜の姿では仔犬が吠えている程度の迫力しかない。主人のサレキがいかにも人の好さそうな青年で、その傍にいる竜がこれでは確かに、多少腕に自信のある者にとっては恰好の餌食と言うものだ。

 つまるところ、テイカの言いたいこととはこうだろう。


「学院内で味方を作りたいってことか」

「そーなったらわっち嬉しいしサレキも危なくなくていい」


 ね。そう同意を求める先には、何とも言えぬ複雑な表情を浮かべた主人の姿。もしかして余計なことをしたのでは、と俄に慌て始めた雷竜を、青年の手が何も言わずに撫でた。

 片や、チハヤは押し黙る。視線は膝の上から見上げてくる地龍の双眸を覗き、その内心では双子も同然の龍の仔と意見を交わし合って、やがては一つの結論を出し合った。

 チハヤはただの狩人である。それは後にも先にも変わることのない自己認識だ。

 だが同時に、この村の狩人は同朋の守護者でもある。そしてチハヤは、そんな血筋の下に生まれつき、その技を磨いた。ならば、その守護の力を求められた者の為に使うのは、やぶさかではない。

 それに――

 あらぬ方向へと飛びかけた思考を断ち、何やら面白そうに目を細めるちまきの頭を撫で回しながら、チハヤは結論を述べた。


「いいよ。そう言うことなら」

「チハヤさん、でも……」

「ま、俺にも色々されるだろうよ。でもな、友達の頼みを聞くなんて当たり前だ」


 力強く、狩人は言い切ってのける。

 そう、友人だ。一方的な認識やもしれぬが、チハヤにとって、この優しい青年は確かに友人なのだ。その頼みを聞けずして、何が狩人か。村の守護者か。

 無言の内に語るチハヤに、サレキは泣き笑うように眉尻を下げた。

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