概要
ケモノも所詮ニンゲンさ
獣が闊歩する市場はベトナムと同じ匂いがする。
今日もヒツジが作ったウシ料理を食う。
干し肉を食うと思い出す。
オオカミ、イヌ、そして彼らと過ごしたあの戦場を。
~飯沼道明大全集より抜粋~
今日もヒツジが作ったウシ料理を食う。
干し肉を食うと思い出す。
オオカミ、イヌ、そして彼らと過ごしたあの戦場を。
~飯沼道明大全集より抜粋~
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!牛の横で牛肉を食う。動物の国へきてしまった人間は何を持ち込んだのか?
戦時中のベトナムから、獣が住まう異世界――動物達の国アトラムに来てしまった、ニンゲンの話。
あらすじはシンプルなのですが、読み進めると、この物語が圧倒的なパワーを持っていることに気づかされます。
唯一の人間であり、記者の男イイヌマ ミチアキは、この国で起きる出来事を、物語をつづります。
彼の視点で、動物の生きる世界がとても鮮やかに描かれています。
彼らの世界には、彼らの文化や価値観がある。
確かな文章力のお陰か、匂いから喧噪まで聞こえてきそうです。
この世界に人間が訪れ、持ち込んだもの。
動物の世界は変わるのか。それとも何も変わらないのか。
違う点、同じ点をたくさん目にしてきた主人公は、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!他とは明らかに違う異世界転生
異世界転生モノの醍醐味といえば、主人公が異世界になにを持ち込むかという点ですが、この作品の主人公・飯沼道明(イイヌマミチアキ)が持ち込んだのは、現代日本の思想でした。
他の異世界転生作者も扱おうとし、その誰もがうまく活かせなかった"思想の違い"を、この作品の作者・ポンチャックマスター後藤氏は完璧にコントロールしています。
主人公がもたらした思想が、異世界を、確実に不穏な方へ誘っていく。しかしそれはもはや主人公がどうにかして止められるものではなく、いつかくるバッドストーリーに私たちは怯えるしかありません。
作者・後藤氏は昔から状況描写・心理描写に非常に長けており、感受性の高い私たち日本人はあっ…続きを読む