第12話

  ☯


 俺は自分が知っている情報を言う。


「三百年前、日本ひのもとは崩壊した。悪神あくしんの影響によってな。この出来事は大神害だいしんがいと呼ばれることになる。その後、日本ひのもとの神々は、日本ひのもとの中心――広輪京こうりんきょう楔御柱くさびのみはしらを建てた。二度と日本ひのもとが崩壊しないようにな。だが、それは応急処置に過ぎない。楔御柱くさびのみはしらが破壊されたら日本ひのもとは再び崩壊する。それを守るために魂装師こんそうしという悪神あくしんに対抗する官職ができた。その魂装師こんそうしを育成するのが、この陰陽院おんみょういんだろ?」


「ご名答よ。楔御柱くさびのみはしらが破壊されたら日本ひのもとは二度目の崩壊を迎えることになってしまう。魂珠こんじゅをつくれる魂生師こんせいしの存在が必要不可欠なの」


 青花は青葉ちゃんを見下すように、にらみつけながら。


魂生師こんせいしの家系である葛原かつらはらの家に生まれた……あたしたちは双子だった。期待されていたのよ。魂珠こんじゅの生成量が二倍になると。魂生師こんせいしとは、自らの魂をちぎって丸いたまを生成することができる者のこと。あたしにはそれができて、クズにはできなかった。だからクズは『非魂ひこんの巫女』なのよっ!」


 青花は青葉ちゃんに改めて現実を突きつけるような声音で。


「この世界は魂装師こんそうしによって守られている。ゆえに葛原かつらはら青葉あおばという存在は無価値で無意味で無駄なのよっ! だって、この世界を守る魂装師こんそうし魂珠こんじゅがないと戦えないもの」


 青花は硬直している青葉ちゃんの胸倉をぎゅっとつかむ。


「クズ……何度も言ったかもしれないけど、言わせてもらうわっ! 魂装師こんそうしとは、魂珠こんじゅを武装して悪神あくしんと戦う者のこと。だから魂装師こんそうし魂珠こんじゅを欲しているのよっ! 魂珠こんじゅが生成できるあたしと、魂珠こんじゅが生成できないあなた……この世界の正義はどちらなのかを考えてみて? まあ、その答えはわかりきっていることだけど」


 青花は自信に満ちた表情で青葉ちゃんに向けて言う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る