第24話

  ☯


「…………」


 俺は化物の消滅を黙って確認する。


「……あっけない幕切れだったな」


 化物の消滅を確認した俺は、改変式自転車カレイドスコーパーで彼女のもとへと向かい、駆け寄った。


「……終わったよ、青葉ちゃん」


「…………」


「青葉ちゃん?」


 彼女を見るが。


「……どうしたんだい?」


 彼女の様子がおかしいと感じた俺は、続けて言う。


「青葉ちゃん……俺のことを気にする必要、ないと思うけどな」


「……!」


 彼女は俺に目を合わせる。


「……なにもかも、お見通しなんだね……神さま」


 彼女の言葉を聞いて確認する。


「どうして俺が神であると思ったんだい?」


「それは君が魂珠こんじゅを持っていないからだよ」


 彼女は表情を変えずに。


悪神あくしん相手に魂珠こんじゅなしでの戦闘……どう考えても無謀だと思う。はたから見たら自殺行為だよ」


「…………」


「それなのに君は、魂珠こんじゅなしでの戦闘をやってのけた。もう神さま以外の選択肢は考えられないよ」


「……そっか」


 俺は彼女を見る。


「青葉ちゃんから見た俺は、もう違うのかい?」


 それを聞いた彼女は迷いを見せる表情で。


「……うん。正直、普通の目では見れないと思う。陰陽院おんみょういんでも、わたしたちの間でも」


 彼女は苦しむ。そんな様子を見かねた俺は。


「本当に気にする必要、ないと思うけど。だって、俺たちは――」


 ――想いを告げようとするが――。


「――そこまでよっ!」


 俺は声の主のほうを見る。十メートル先の海岸に彼女はいた。


「……青花、ちゃん」


「今、あたしは真実を知った。皆神みなかみ蛭子ひるこ悪神あくしんである、という真実を、ね」


「青花お姉ちゃん、どういう意味!?」


 珍しく青葉ちゃんが声を上げる。


「今、ここであったこと、全部、知っているんでしょ!? なのに、どうして蛭子くんが悪神あくしんだと……なんで、なの?」


「くくく」と彼女は真実を知っているかのように笑う。


「それはね……皆神みなかみ蛭子ひるこが約三百年前に棄てられた悪神あくしんの残骸だからよ」


  ☯


「どういう、こと?」


 青葉ちゃんには、わからない。わかるはずがない。今の彼女は、いわゆる一般人に過ぎないのだ。青花が魂生師こんせいし――ひがし葛原かつらはらの代表になっている今は仕方ないのだ。

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