第23話

  ☯


 俺は義手を属性に変化させた。


 すい属性であるサメ型の悪神あくしんの弱点である。


「……けんっ!」


「……!」


 海が拓かれた台地で化物は寝転がる……が、体色は変化していく。


 黒色だった体が黄色へと変わり、腹部から八本のクモ型の足が生える。


「……これは……」


 俺は戦慄した。


「まさか、俺と同じタイプの悪神あくしんに出会うとはね」


 再び戦う覚悟を決めて立ち向かっていった。


  ☯


「……蛭子くん……」


 ――青葉ちゃんは海岸に設置されている堤防の近くで俺を見守っている。


「……君は……何者なの?」


 これまでの出来事を青葉ちゃんは思い出す。


 ――彼だけは……青花お姉ちゃんの呪術の影響を受けなかった。


 その理由は――。


 ――魂装師こんそうしとして相当な手練れなのかもしれない。


 ――いや、彼は魂装師こんそうしではない。


 ――彼の装備からは魂珠こんじゅの気配が感じられなかった。


 ――だとすると、彼は……。


「……魂装師こんそうしでも魂生師こんせいしでもない。蛭子くんは……わたしたちより階級が上の……」


 青葉ちゃんは俺の『じんかいじょ』という言葉を思い出す。


「……そっか。君は……」


 俺が何者であるかを、青葉ちゃんは理解した。


  ☯


 ――俺は黒色から黄色の体色に変化したサメ型の――クモの体の一部が追加された――悪神あくしんと戦っている最中だった。


「くそっ! こいつ、糸を吐き出しやがるっ! 俺を捕獲して食べる気まんまんだなっ!」


 改変式自転車カレイドスコーパーを操り、俺は空を飛び回る。


 化物の攻撃が厄介なのだ。


「でも、甘いぜっ! 俺もおまえと同じタイプだからなっ! 同類は同類なだけ対応がしやすいわけだっ!」


 俺は属性を変化させる。


ぞくせいへんもくっ!」


 右腕を構える。


「くらえっ! 鉄化てっか……」


 鉄のこぶしに変化させ。


「……雷包らいほう……」


 電流を走らせ、そして。


「……けんっ!」


 化物に強烈な一撃を叩き込む。


「ブッ、ブ……ッ……シャ……アアァァァ……ッ!」


 強烈な一撃を食らった化物は、悲鳴を上げながら消滅する。

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