第22話

  ☯


「――そんなに驚くことじゃないだろ? そういう人は……この世界に、ごまんといる。悪神あくしんとの戦闘で……なくしたりする人とかさ」


「……蛭子くんも、そうなの?」


「……違うよ。俺は生まれたときから腕も脚もフニャフニャしていて動けなかった」


 俺は昔のことを思い出しながら。


「……この義手と義足は、血のつながってない父さんからもらったものなんだ。神装具しんそうぐ千変万化せんぺんばんか』……それが、この義肢の名前さ」


「……千変万化せんぺんばんか


 その意味を青葉ちゃんは考える。


「……考えるなっ!」


 青葉ちゃんの考えを止めて。


「ここで俺の戦いを見てろっ! それが答えだっ!」


 俺は決意を固めた。


「……行ってくるっ!」


 ……と、言って……ボードに変形した自転車に乗って海へと向かった。


「……行ってらっしゃい……」


 青葉ちゃんは俺のことを思うと……不安で、心配で、仕方なかった――。


  ☯


「――ああああぁぁぁぁぁっ!」


 青花は監視画面で一人、嘆いていた。


皆神みなかみぃっ! 皆神みなかみ蛭子ひるこぉっ! よくも……よくもあたしの計画を邪魔してくれたわねえぇぇっ!」


 近くに置いてあった椅子を蹴り飛ばし、打ち震えている。


 心の中で怒りがにじんで仕方なかった。


  ☯


 ――俺は改変式自転車カレイドスコーパーに乗りながら、サメ型の悪神あくしんに近づいた。


「……あれだな」


 俺は右腕の義手を構え。


「……鉄化てっか……」


 ……と、唱えて、さらに濃い鉄の色へと右腕の義手を変化させる。


「……けんっ!」


 俺は右腕の義手で思いっきり、化物を殴りつけた。


「ブッシャアアアァァァァッ!」


 化物は鳴き声を発する。


 俺のこぶしによって、海が割れ、海底の大地が現れる。


「……もう、これで動くことはできない。あとはけん連打れんだで消滅させるっ!」


 鉄のこぶしを構え。


鉄化てっかけん連打れんだっ!」


 銃で発射された弾丸のような速度でけんを連発した。


打打打打打打打打打打だだだだだだだだだだ……っ!」


「ブッシャアァァ……ッ!」


 化物は地面に屈し、気絶した。


「……最後に属性攻撃をお見舞いしてやるっ! ぞくせいへんっ!」

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