第10話
☯
青花は自慢げに貧相で真っ平らな胸をぐっと張る。
(出来の良さ……ね)
そう思いながら俺は青花の体を凝視する。主に胸を。
「……なあに?」
青花は俺の態度を見て、ははーん……と、勝手に理解する。
「あたしの洗練された体をじっくり見ようとするなんて……生意気なのよ」
尊大な口調とは裏腹に、青花の言葉には照れがにじんでいた。
「まあ、いいわ。あたしの魅力に惹かれるような人間は、この
「なんてみみっちい女」だと俺は思った。
青花は気を取り直すように、すぅ……と、息を整えて。
「……こほん。本題に入りましょう。なぜ、あなたが『
俺は愚問だなと思いながら笑った。
「俺は彼女に救ってもらったんだ」
「あなたが? 救ってもらった? あの『
「そうだよ。俺は
俺は青葉ちゃんを見る。
ざわっ……と、ほかの生徒たちが言った。
「なにもできない……あの『
「いったいどんな術を使って
「術なんて使えるわけねーよっ! あの落ちこぼれのクズ
言いたい放題である。
「……はあっ?」
青花は俺に苛立ち、つっけんどんな表情を青葉ちゃんに向けた。
「クズ
「
にかっとした表情で俺は言った。
「気絶して海に流されて死にかけていた俺を青葉ちゃんが救ってくれたんだっ! この
「海に流されたですって?」
顔をしかめながら青花は思考する。
気絶している人間に対する応急処置。それは――。
「――まさか、人工呼吸をしたってことなの?
わなわなと青花が震えだす。
「……あなたたち、破廉恥だわっ! 神聖なる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます