第2話

  ☯


 彼は、あらゆる武具をつくる鍛冶師だった。


 彼のつくるモノは、なんでもありって感じだ。


 現実の武具には存在しない能力を持った「神器じんぎ」。


「雷霆」「金の弓矢」「雲の盾」……と、呼ばれるモノをつくったらしい。よくわかんねえけど。


 とにかく俺の常識では理解できないモノだった。


 けど、彼は……そんなに悪い人じゃない。


 俺には、わかる。


 彼は俺と同じ寂しさを感じるのだ。


 俺は今、目が見えないが、なんとなく彼がいい人だってことはわかる。


 彼の足は悪い。


 たどたどしい足取りだ。


 まるで元々が、そうであるという感じに。


「君は、わかっているのか……いい子だ」


 そう、かもしれない。俺たちは確かに同類なのかもしれない。


 今の俺は手も足も発達していない芋虫のような存在で、彼は足が弱い。


 彼は俺に自分を重ねているのだ。


 なにかしら感じるものがあるのだろう。


「けどね、僕は君じゃない。もちろん君は僕じゃない。それは理解、できるね?」


「…………あっ……あっ、あっ…………」


 言葉が、うまく出てこない。


「……だろうね。君は、まだ赤子だ。なにもできない、赤ん坊だ。だから、君のことをなんとかしてあげたいと思っている。これからの君は、自由だ。それを保障しよう」


 優しい人だ――。


  ☯


 ――それは俺の父さんがした行動ではなかった。父さんは言う。


「父さん、なぜ! なぜ、こんなことをするのです!」


 いつの間にか俺は「雷霆」という武器を持った神に電光による攻撃を浴びせられていた。


「貴様こそ、なぜだ? なぜ異国のモノを育てているのだ?」


 雷を司る神は俺を見て。


「……なるほど。そういうことか。貴様はアレと自分を重ねたということか」


 雷神はニタリと笑い。


「貴様も不出来だったからなあ。だが、よく見ておけ。これが異国の神をこの国に入れた罰だ」


「雷霆」と呼ばれる神器じんぎに電流を走らせる。


雷霆之電光らいていのでんこう


 突如、俺の身体を電光が襲った。一瞬の出来事だった。


「これで、もうアレの存在は消えてなくなった。貴様は反省するがよい。もう、こんなことをしない、とな」


「…………父さん、なにを勘違いしているのですか?」


「――なに?」


「よく見てください」


 俺は吸収していた。


「雷霆」から発せられていた電流のすべてを。


「なん、だと……? あれは……神器じんぎ!?」


「そう、あれは神装具しんそうぐ千変万化せんぺんばんか』。僕が今までつくってきた神器じんぎよりも最高傑作である! ゆえにヒルコと最も相性がいい!!」

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