概要
子供たちは、星の降る絶望の空を――駆け抜ける!
地球に『巨人』が降るようになってから、もうかなりの年月が経っていた。生き残った人類は地下都市『ジオ・フロント』で暮らし、二度と空を見上げることはなかった。しかし、人類が地下に引きこもっても『巨人』の襲来は止まることなく、地球の空に降り注ぎ続ける。追い詰められた人類は、『巨人』を迎撃できる唯一の手段『戦闘機』に乗ることだけに特化した子供『マキア』を生みだし、少年少女らに全てを託した。
新横浜基地に所属する戦闘機乗りスバルは、今日も空を見上げ――星の降る絶望の空を駆ける。人類がもう一度空を見上げて、空の先に思いを馳せ、手を伸ばせる日を取り戻すために。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!成層圏で燃え上がる流星たちの神話
外宇宙から飛来する巨大隕石に大地を蹂躙されて、地下に逃れざるをえなくなった人類たち。彼らは生き残りをかけて、地球に迫りくる隕石を迎撃するための戦闘機へ乗り込むためだけに作り出された子供たちを宇宙へ打ち上げる。
少年少女たち、プラス戦闘機。巨大隕石の高高度迎撃。青い空を失った人類。
SF的舞台設定が整った物語世界で、まるで神話のような宇宙空中戦が展開される。
戦闘機ときいてちょっと興奮して読み始め、ま、戦闘機は創造したものと少し違ったのだが、それでも危機に瀕した人類と地球の描写が、終末的であるにも関わらず、透き通るように美しく、独特の形式美を感じさせる。地下都市に押し込められた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ささげた翼は強く羽ばたく──きれいな空で
カッコよすぎる戦闘機SF。地球に落ちてくる巨人を迎撃する特別な子どもたち、"マキア"の戦いが、流麗な文章で綴られます。
この作者様の文章、ただの文字ではないんです。あるときは美しい景色、あるときは不屈の意志、またあるときは人を想う気持ちになって、過不足なくストレートに、読者に届くのです。
これぞ小説、これぞ文学、という感じの読ませる文章とでもいうのでしょうか。うん、すごい……。
見所は何といってもマキアの女の子、チャイカの成長です。主人公のスバルに導かれながら、大切なことを学んでいくチャイカにつられ、私たちはどんどんページを進めていきます。
読み終わった読者は、チャイカの成長に感動し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!僕が守りたいと思うものを、君も守りたいと思って欲しいんだ
謎の隕石が次々と地球目掛けて襲来してくる世界。
世界の希望は、そんな隕石を撃退するべく戦闘ロボットに乗って戦う少年少女たち『ガンツァーヘッド』に託されるのであった。
ある日、まだまだ未熟なガンツァーヘッドである少年スバルに、新人の少女チャイカの教育係という命が下る。
新人ながらあらゆることでスバルを上回る力を見せるチャイカ。しかしそれ以上にスバルが困惑したのは、チャイカ自身がまるでロボットかのように人間らしい心を持ち合わせていないことであった。
劣っているスバルがチャイカに教えてあげることができるもの。
それは自分たちが何を守る為に戦っているのか、ということ。
今、その想いを胸にスバル…続きを読む - ★★★ Excellent!!!空《ソラ》へ、宇宙《ソラ》へ、隕石《ホシ》へ、地球《ホシ》へ
可変ロボが巨大隕石を叩いて砕く!
パイロットは遺伝子操作をされた子供達!
子供達は命を削る戦場へとひた走る!
とここまで聞くとどんなスーパーパイロットやスーパーロボットが出るのかと思うかもしれませんが、ちょっと話は違います。
主人公達が乗っているのは量産機で、仕事もあくまで特別な機体に乗った子供の補助です。
しかし、優秀な部分が有ったとしても、決して特別な力を持たない彼等が、戦場で生き残り続けるその姿は、読む人間の胸の中に残るものがあります。
美しい空の上、美しい星の下、泥臭く温かい物語がそこにあります。 - ★★★ Excellent!!!大人になれない子供には、空だけが広い
巨大なカタルシスのあとの、黄昏れた時代。人類は空の自由を失い、それを取り戻すために「戦闘機に乗るだけのデザインチルドレン」を生み出しました。マキアと呼ばれる子供たちの、空だけが広い物語…VRで繋がった知覚は広大なネットで子供たちを繋げ、多くの制約が現実でも付きまとう。そんな中、主人公が空を見上げ続けているのは、きっとまだ見ぬ憧れであり、他者が失くしたものが感じられるからかもしれません。戦うためだけに遺伝子を調整され、死ぬまで大人にならない子供たちの戦争。その儚さは、ポストアポカリプス的な世界観の中で小さく小さく、ほんの短い間だけの輝きを放つ…続き、気になります!オススメ!