こちらの作品は序盤だけでレビューを書くととんでもなくラストと違うことに震えるので、最後まで読み切ってから書かせていただくことにしました。
描写のどこをキリトリしても「目で見える映像」「音が聞こえてくるシーン」「感情を揺さぶられる」ところを必要最低限のつなぎ言葉で表現しているのに伝わる。
ここぞという場面でせりあがってくる感情の波、繊細な動きなのに本当に必要最低限で描写されている圧倒的な戦闘シーン。
参考になるべき文章がここにある。プロの作家さんの作品なので文章力がうまいのは勿論なのですが、この世界観の構築は圧巻しかありません。
そして序盤だけで読むのをやめてしまった方は絶対に五章までたどり着いてください。
ただのヒューマンドラマではありません。まさかの伏線がてんこもりで、こうくるのか?と驚くことばかり。
そして複雑に絡み合った人間関係や背景が最後にピタリとピースにはまる瞬間。
これが壮絶にエモい。
長く書けばいくらでも書ける部分を、先生の作品を知らない初見の人間が”読みやすく””手に取りやすい”文章量でここまできれいに纏めてくるのはやっぱりプロです。
キィスについてはあとがきで触れているので、こちらも拝読させていただこうと思います。
素晴らしい世界観と圧倒的な描写力。参考にしかならないありあの生きざまを目に焼き付けてください。
地殻崩壊後の荒廃した世界を舞台に、美しき殺戮兵器「天使」と、居場所を奪われた少女の戦いを描く重厚なSFアクション。まるで映画のような作品です。
過酷な設定と裏腹にどこか「色」を感じさせる端正な文体。
イチゴチョコのピンク色が鮮血に染まる第1話の衝撃。
そこから物語は、不器用な情熱を秘めたセーレン、謎めいたアスラという二人の男を巻き込み、巨大な運命が回り始めます。
個人的にゾッとしたのが、自動人形という存在の描かれ方。
ただの機械ではない、魂の欠片を感じさせるような表現は、SFギミックというよりはホラーの呪いに近いものに感じました。
絶望に打ちひしがれ、涙を「魔法の金平糖」で溶かして立ち上がるありあの姿は、読み手の胸を鋭く、そして優しく貫きます。
「蒼い凶星」や「黙示録の天使」といった硬派なガジェットもSF者の心をくすぐります。
ただそれらがただの機械ではなくありあたちの不器用な心の機微と重なり合い、唯一無二の詩情を編み上げています。
失ったからこそ、もう護られるだけではいられない。
そんな、折れない芯を持つ少女の初陣を、そしてその結末をぜひその目で見届けてください。
吐き気を催すほどに過酷な世界に一筋の甘い光を求める、そんな魂を揺さぶられたい人にぜひ。
崩壊した世界で、少女が抱えていた小さな日常が、一瞬でひっくり返る。
必死に守ってきた温もり、そしてその裏側に静かに近づく“異質な気配”。物語は甘さも油断も許さない世界観を、一気に肌へ突きつけてくる。
そこへ現れる、目的の読めない青年。救いの手にも見え、破滅にも見える存在であり、その危うさが主人公との距離に絶えず緊張を走らせる。二人の会話には火花のような衝突と、互いの素性を探り合う鋭さがあり、ページをめくるたびに空気が変わる。
そして、世界に潜む“敵”の存在感は圧倒的。静寂を破る描写は息を飲むほど迫力があり、読者の想像を軽々と超えてくる。戦う術を持たない少女が、なにを奪われ、なにに立ち向かおうとするのか――