現の境（うつつ の さかい）

　人間関係が苦手な高校生の黒木悠一。彼は気にかけてくれる幼馴染の今井菜穂とも微妙な距離感を取り、所在ない日々を過ごしていた。
　そんなある日、忘れ物を取りに戻った放課後の校舎で不思議な少年を見かける。真っ赤な夕日に桜の花弁が舞い散る中、少年がうら寂しい外階段から飛び降りると、それに誘われるように悠一も同じ行動をとっていた。しかし、次に気が付いた時、悠一が立っていたのは階段下にある桜の木の横だった。
　以来、度々同じ奇妙な体験をするようになった悠一は少年について思いを巡らせる。
　不気味な同級生、久路詩緒里や精神科医の結城京介と出会いながら、悠一は徐々に少年について知り、菜穂との関係や自らの過去にも直面して行く。その結果・・・・・・。

　流行に逆行する作品だとは思います。いささか堅っ苦しい内…続きを読む