概要
七子の目にはこの世のものではないものが見えているが、それらは全て幻覚である。
その夜、正木先輩に押しかけられ、自宅を探索することになった七子は、真に見てはならなかったものを見つけることになる。
これまで遭遇してきた怪異とは、何もかもが異なるもの。
全てが変わってしまう、恐怖を。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!破壊と再生の怪奇譚。障がいを持つ少女の人間ドラマ
自分の感じること、考えることが生きていく上で障がいになってしまう。主人公は、そういう人々の中の一人で、これを書いている私自身もその一人です。
名も知らない誰かの視線、心を掻き乱す喧騒、言葉に隠れる悪意、悪意の流れ弾。
直接、自分を害することのないものを恐怖と捉えることで心は磨耗し、感情は希薄になっていく。生きていく気力も薄れてくる。そんな段階に現在、私はあります。これを障がいだと認識したのも、つい最近です。
しかし、主人公は違います。
一に、障がいと認識し、付き合っている年季が違う。強い。
二に、彼女の障がいを理解し、その上で彼女自身を好いてくれる家族や友人。ただし、クセが強い。
三に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本当の恐怖を知るということ
書きたいことがことごとくネタバレになってしまうので、簡素な感想になってしまうことをお許しください。
しかし確かに言えることは、本当の恐怖とはなにか。そして、恐怖と共にあるとはどういうことかを、真っ正面から描いた作品だということです。
とにかく、ページをめくる手が止まらない。私は、完結後一気読みをさせていただいたのですが、毎回引きが強くて、続きが気になって仕方がなかったです。一瞬で読了してしまいました。
また、幻想的であるにも関わらず、イメージが浮かんでくるような巧みな文章。アクが強く魅力のあるキャラクター。この小説の構成要素に、不足ある点がありません。
何一つの不安なく不安を描き、恐怖と、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少女たちの、恐ろしく美しい夜の散歩。恐怖を求めて。
一人で下校できないくらい、誰よりも恐怖を恐れる七子。
恐怖を求め続ける正木先輩は、美しい笑顔で、七子に付きまとう。
この世ならぬ幻覚を見る七子は、恐ろしいものに囲まれているのに。
それでも七子と正木先輩が過ごす夜は、とても美しい。
怖いのに、どこかで「羨ましい」と思ってしまいます。
こんな風に探検してみたかった、と。
(実際には絶対やらないけれど……。)
七子の家の、前の住人の頃からある物置でソレを見つけてしまったときから。
起きてしまった事件。
今までのままでは、いられなくなる。
かけがえのない日々だった。
間違いなく、友達だった。
残酷だけどこの上なく美しい、青春物語。