それは本当に幻覚なのかそれとも幽霊なのかあるいは………。この作品のテーマは「恐怖」かもしれないけれど、個人的な感想としては、「家族」だと思います。読み終わった後、不思議と切なく胸を締め付けられる、それでいて優しい気持ちになる、そんな名作です。
人が夜に身近に感じる恐怖というものに対して真摯に向き合った作品です。物語は恐ろしくて、でもどこか優しくて、続きを見るのが少し怖いのに、気がつけば次へ次へと見てしまう、そんな惹き付けられる作品です。
全て終わったあとのラストシーンはちょっと切なくて、しかし不安がまとわりつきながらも魅力的だった世界が暗い森を抜けたような開放感。途中何故か涙ぐんでしまった。
小説に限らず、ホラージャンルにおいて人体を恐怖発生装置にするとどうしてもゴア要素に引っ張られてしまい作品自体が飲み込まれてしまう危険があるのだが本作では恐怖という感情に主軸を置くことで発生装置のまま…続きを読む
ホラーあるいはミステリーとして本当に面白いです。また少女の青春物語としての一面もきちんと書ききっていらして、人間関係、またそのへんの心理描写が丁寧であり、暗さの中にも豊かさがあります。文体がすっき…続きを読む
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