概要
不思議な国学者・平田篤胤が挑み続けた知の迷宮探検
江戸時代後期。近世の終わり際。近代の手前。
徒手空拳の若き学者・平田篤胤はある年の元旦に奇妙な夢を見た。
それは見た事もない石造りの通路。
そこに佇むは牛の頭を持つ異形の怪物。
仄暗い通路は遠い異国の迷宮やフィレンツェの詩聖が描いた幻想とも何処かで繋がっていて……。
世界中の神話を研究して独自の神道論を説き、後の明治維新や廃仏毀釈の思想に大きな影響を与えた国学者・平田篤胤を主人公に物語を描いてみます。ある程度の史実には沿っていますがもちろんフィクションでございます。
徒手空拳の若き学者・平田篤胤はある年の元旦に奇妙な夢を見た。
それは見た事もない石造りの通路。
そこに佇むは牛の頭を持つ異形の怪物。
仄暗い通路は遠い異国の迷宮やフィレンツェの詩聖が描いた幻想とも何処かで繋がっていて……。
世界中の神話を研究して独自の神道論を説き、後の明治維新や廃仏毀釈の思想に大きな影響を与えた国学者・平田篤胤を主人公に物語を描いてみます。ある程度の史実には沿っていますがもちろんフィクションでございます。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「神話」はどこから来たのか、世界を体系化するのを夢見た男
世界各地の神話や伝承のなかには、驚くほどの相似を見せるものがある。
たとえば洪水伝説。
あるいは楽園放逐。
想像上の奇怪な生き物にも類似がある。
それはひとつの「初源の伝説」が世界に広がったと考えるか、自然現象などの似た経験に基づいて、同時多発的に生まれたものと考えるか、その捉え方はおおむねふたつに分かれるだろう。
本作は、前者の考え方をし、その思想の体系化に生涯を捧げた平田篤胤の物語。
現代の視線で観れば、よほど民族的に共通の先祖を持っていることが明らかである場合を除いて、後者の立場を取る学説が多いのではないかと思われる。
日本の神話や伝承を源に据え、世界を体系化しようとす…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛しい者は死後どこへ行くのか。国学者・平田篤胤は問い続ける。
江戸後期。学問を志す平田篤胤は、本居宣長の書と出会う。
それが、牛の姿を追い、人は死後どこへ行くのかを探る長い旅の始まりだった。
平田篤胤。日本史で習った名前しか知らない人物です。
新しい知識に接すると、子供のように目を輝かせ、寝食を忘れて研究に打ち込み。
生活力はないけれど、周囲の人々が手助けしたくなるような、魅力的な人物として描かれています。
献身的に支える妻・織瀬の存在も大きい。
本居宣長の書は、死後の世界に深く触れていない。それは不可知であるから。
しかし篤胤は、夢で見た牛の姿を追うように、幽冥の迷宮へと足を踏み入れていく。
それは理論とかではなく、個人の信仰みたいなものではない…続きを読む