概要
地は荒れ、天は裂け、魔は蔓延り……以下略。
なんやかんやあって、世界はまぁそれなりに平和になった。
しかし、平和になったお陰で山ほどいた勇者や騎士は仕事にあぶれて無職になってしまった。
盗賊に顎で使われながらも、どっこい生きてる無職共の明日やいかに。
いや、今日の食い扶持もいかに。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「めでたしめでたし」のそのあとで、
世界はどう変わり、人々はどう変わっていったのか。
ハッピーエンドを迎えたあとの世界に生きる"人々"を丁寧かつ繊細に描いている。
全て終わったあとの世界で、それこそRPGで言ってしまえばもうクリア後の世界。
この作品に出てくる登場人物すべてに魅力を感じた。
が、この物語において自分に衝撃を与えたのは「その他大勢」の存在があることだ。
キャラクター小説にありがちな、主人公たち以外がいてもいなくても変わらない話とは違う。
「その他大勢」が存在しているからこそ、「主人公たち」が存在する。
一歩違えていれば、その「主人公」たちも「その他大勢」の固有名も与えられない存在だったかもしれない。
この…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これは「勇者」を語る物語だ。
これは、ある勇者によって、一人称で語られる、魔が去り平和が訪れた世界の物語である。勇者の役割が終わりを告げた世界が如何に続いているのかが、登場人物達の生き方によって自然と描かれている。
語り手である勇者の言葉は時々崩れ、笑いを誘う。登場人物達の軽妙なテンポの会話は、読んでいて飽きることがない。スラスラと読むことができる文章でありつつも、その背景の世界観はしっかりと、しかも説明臭くなく語られる。
勇者たちが世界を救った後、彼らはどうなるのか――その答えの一つが、世界観的な説得力を以て語られている作品である。
この作品は、魔と戦い、血風が舞い散る時代を経て、かつて戦場に在った人々が今を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!重厚かつ幅広い表現力と、シニカルで若者風の言い回しの落差が面白い
丁寧に作りこまれた世界観――乱世を終えた人々の思想と生き方の変遷――と、一人称であろうと硬派な文章回し。腰を据えて読もうと思い身構えた私だったが、見事に不意打ちを食らった気分となった。
なんだこれ(困惑)
それが投稿分(2017/12/14)前半部の毎章ごとに抱いた、素直な気持ちである。
間断なく荒唐無稽な怒涛の展開が続き、私は終始にやけた笑みが止まらなかった。紛うことなく良質なコメディであり、するすると読むのが進む。
しかし、上述したように重厚な世界設定により、ただの喜劇で終わるわけではない。この世界に住む者たちは皆、急激に変化しつつある暮らしに順応し、生き抜くために必死なのである。そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世知辛い世の中で、それでも彼らは生きている
壺漁りと聞いて真っ先に思い浮かんだのはRPGゲーム。
どうしていつも壺にアイテム入ってるんだろう?
そこに入っているアイテム勝手に持って行って怒られないんだろう?
さすがにタンス漁りは出来ないか。
とか思ったことのある人は必ずいるはず!
本作品もそうなのかと思いきや、世知辛すぎる、この生き様。
かつてどんなに命を懸けたとしても、時代が変われば需要も変わる。
かつてはそうでも今は違う。それはそれ。これはこれ。
勇者も黒騎士も白騎士も、かつての栄光と役割が変わって……
達観しているような勇者様と、面白棚上げクレーマーでも、時々至極真っ当な発言をぶっこんで来る黒騎士。アイドル白騎士大好きな性別不…続きを読む - ★★★ Excellent!!!溢れ返る無職の勇者——それは太平の世がもたらした大きな代償。
これは、平和な国で暮らす勇者(無職)と、その友人であるクレーマー気質の黒騎士(無職)、そして性別不詳のエルフの盗賊(無職)が、糊口を凌ぐためにあれやこれやと日雇いの仕事を渡りながら、己の生き様に思いを巡らせ、自らの存在意義を追求する物語である。
タイトルやあらすじからコメディかと思って読み始めたら、世界が平和になって一変してしまった社会体制の切実な問題点が綴られており、思わず唸ってしまった。
戦乱の世であれば活躍できたであろう主人公たちは、今や社会の厄介者。(いや……彼らの性格にも問題あるかな……?)
かつて勇猛さを誇った騎士団も、アイドル白騎士のショーや握手会の興行で収入を得る日々。
こ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ある種、アフターウォーの悲劇を痛烈に描いた衝撃作!
アスリート界隈でよく言われるセカンドキャリアという言葉を思い出しましたね。
プロの世界で一流としてやってきた選手が、短い選手生命を終えた後、第二の人生でもがく。引退後の人生が約束されているのは本当に一握り。華々しい世界で閃光のように輝いていたのに、一線を退いた途端に何もなくなり、飲食店の手伝いや訪問販売の営業などに身を寄せていく者も少なくなく(もちろんそのような職業を貶めるつもりはありません)、中には路頭に迷うような方も……。
ここで描かれているのは戦時下において命を削って戦った者たちの、訪れた平和な世の中での生きざまでした。軽妙に描き出される戦後の勇者たちの日常はおかしくもどこか切なく、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世知辛い。でも辛いわけじゃない。前を向いていて、元気だから。
平和になり武力が必要なくなってきている世界でたくましく生きていく無職たちの世知辛いさわやかコメディ🐣
世界が平和になったら戦っていた人はどう生きるんだろう?
必要なくなったと言われる人達はそれをどう思っているんだろう?
そんな疑問に正面から答えてくれる物語です。
加減して。と思うくらいに正面です。
生きるためには色々捨てざるをえない。でも皆一番大事な部分は何とか捨てないで生きてる。
世知辛く、でも辛く感じる訳でなく。
きっと皆生きるのに前向きで、したたかすぎるからなんだと思います。
北方エルフのクリスの性別は女の子に一票。