仄かな苦みも酒の醍醐味。

 その後。

 

 クリスは、私とヴェイロンからは気まずそうに視線を逸らして、それでもしっかりランティス氏とは要望通り三回握手を交わしてから帰って行った。

 

 その際、流石のヴェイロンも、クリスに何か声を掛ける事はなかった。

 趣味は人それぞれであるし、友人とはいえ、親しき仲にも礼儀ありである。

 

 例え話をしよう。

 もし、友達んちにあがった時、たまたまベッドの下からが出て来たら、人は一体どのような行動をとるであろうか?

 何も言わず、そっと元の場所に戻すのではなかろうか?

  

 少なくとも、私とヴェイロンはそうした。

 

 これは、それだけの話であった。



******

 


 一先ず、握手会は恙無つつがなく終わった。

 

 クリス以外にも「型を取りたいので自分の代わりに粘土に握手をして欲しい」と願い出る猛者や、ランティス氏との前世の絆を力説する貴婦人など、精鋭の名に恥じない様々な奇人変人が現れたが、それこそ暴走らしい暴走をした輩は一番手のクリスしか現れず、概ねは問題なく終わった。


 そんな、仕事上がりの酒の席。

 トリトン通りの外れにある酒場、『雌鹿の居眠亭』にて。


「クリスにああいう趣味があったとは……意外であったな」

「つくづく、度し難い奴だ……全く」


 私とヴェイロンは酒場を貸し切った第三騎士団の面子に交じって打ち上げに興じていたが、昼間のそればかり気になって酒が進まずにいた。


「しかし……思ったよりもミーハーなであったのだな、クリスは」

 

 長らく性別不詳のクリスであったが、巷を騒がせる白騎士の限定グッズをズルをしてまで買い漁り、大枚叩いた上に一晩泊まり込みまでして一番手に握手をしたがるというのは……少々度が過ぎてはいえるが……まぁ嗜好そのものは女子のそれである。

 今まで何となく聞くに聞けずにいたのだが、今後は一先ず女子としての扱いをするか。

 

 などと、私が思っていたところ。

 

「……いや、わからんぞ」


 おもむろにエールを一杯呷ってから、ヴェイロンがそう反駁はんばくしてきた。

 

 なお、相変わらず兜はつけっぱなしである。

 いつも通り、口元まで兜の眉庇バイザーをちょっとズラして飲み食いをしている。

 毎度ながら、妙なところ器用な奴である。

 などと、私が呑気に感心をしていたところ。

 

「性別は未だ不明であるし……その上で、奴はいずれにせよだと俺は思っている」


 驚愕の見解が飛び出してきた。

 無論、ここで言う両刀とはという意味であろう。

 いや、しかしだ。


「何故、そのような突飛な結論に辿り着くのだ?」

「以前まで、俺は奴の事をだと思っていたからだ」

「それこそ、何故であるか」


 クリスは他の北方エルフの連中同様、童顔故にイマイチ男なんだか女なんだかわからない顔立ちをしているため、一目ではどうにも甲乙付け難い。

 その上、服装どころか口調や仕種も時と場合で使い分けるので、どれが素なのかよくわからない。

 

 しかし、私は靴に対する傾倒ぶりなどから、「むしろ、どっちかといえば女では?」と、前から思っていたのだが。



「以前、ストリップ小屋で偶々たまたま居合わせてしまったことがあってな」



 そんな認識も一発で叩き壊す発言が、ヴェイロンの口から飛び出してきた。

 

 つか、お前もお前でそんなところ出入りしてやがったのかよ。

 なんて羨ましい。


「一先ず、何故私を誘わなかったのかという追及は置いておくとして……本当にそれはクリスであったのか?」

「金があるなら後で連れてってやる……まぁ、それはともかく、あれは奴本人で間違いない。後日、本人に確認したところ、ナイフを投げられてここに傷がついたからな……」


 そう言って、ヴェイロンはいつの間にかこさえていた、比較的新しい兜の傷を指さす。

 それ、そんなしょうもない理由でついた傷だったのか。

 つか、そんなこと面と向かって聞くなよ。


「更に後日、一人で入って行くところも目撃している。その日は、俺は遠慮した」

 

 しかも、結構頻繁に行ってんのかよコイツ。

 それでクリスに金を返していないのだから、コイツもコイツで本当にしょうもないな。

 というか、クリスが返済の催促をヴェイロンにあんまりしてないのは、そういう弱みを握られていたせいもあるのかもしれない。

 まぁ、しかし、それはそれとして、だ。

 

「そうなると……いよいよ、どっちなのか分からんな」

「ああ……まぁ、いずれにせよハッキリしていることは、奴がムッツリスケベであるという事だけだ」

「北方エルフは全体的に性欲強いと聞くしな……」

 

 北方エルフ達が元々いたところは、コバルト河を北へ北へと遡るとブチ当る、北の大山脈麓の極寒地である。

 寒い場所で出来ることは当然限られる。

 そうなると、に対して理解が深まっていくのも、ある意味で自然な事であるのかもしれない。


 などと、我々が下衆の勘繰り以外の何物でもない、薄汚れた猥談に花を咲かせていたところ。

   

「おーう! お前らぁ! 飲んどるかァぁーー!!」

「おうわっ!?」


 酒気帯びの百人長殿がジョッキ片手に突如現れ、私の背中を後ろからド突いてきた。

 見れば顔は既に真赤であり、そらぁもう楽しそうな顔でヘラヘラと笑っている。

 理性がまるで感じられない。

 完全に出来上がっている。


「ひゃ、百人長殿……飲み過ぎでは?」

「全く、同じ騎士として見るに堪えない醜態だな……」

「うるへぇっ! いまぁ、打ち上げなんだから、これくらいで丁度いいんだよ! むしろ、おめぇらのほうが無粋もいいところじゃねぇかぁ! 酒の席でなぁに辛気臭ぇ面ならべてんだぁよ……っとぉ!」

 

 そう言って、いつの間にか空になっていたヴェイロンのジョッキにどぼどぼとワインを注ぐ。

 結構派手に溢れているので全くもって勿体無いが、気にしている様子はまるでない。

 

「おらぁっ! 黒騎士! てめぇ飲メェ! 勝負だ!!」

「飲み比べか。ハッ! だが、そんな有様ではもう勝負はついているようなものだな」

「だっはははは! なにいってんだ、これくらいハンデだっつーんだよぉ! 好きな時に好きなように飲んでる無職様と、しんどい時でも無理にでも飲まされてた俺達じゃあ、シラフじゃ勝負にならねぇかんなっ!」

「安い挑発だな」


 そう、ヴェイロンは真っ赤な顔の百人長殿に対して嘆息していたが。


「しかし、だ」


 言うなり、なみなみとワインの注がれたジョッキを引っ手繰って一気に呷り。


「そうまで言われて引き下がっては、男が廃る!」


 一息でワインを飲み干して、空になったジョッキを百人長殿へと突き出した。

 なんだかんだで付き合いのいい男である。

 

「おう! んじゃあ、やるかぁ!?」

「やらいでかっ!」

「いざ!」

「尋常に!」

 

 

「「勝負ッ!!」」

 

 

 

******

 

 

「まったく、元気な連中であるなぁ……」

 

 すっかりテーブルで盛り上がり始めたヴェイロンと百人長殿を後目に、私はテラスで静かに飲みなおしていた。

 先ほどまで私がいたテーブルは最早、立派な飲み比べ闘技場コロシアムと化しており、周囲にはヴェイロンと百人長殿を囃すギャラリーまで出来上がっている。

 どうも、どちらが勝つのか賭けているらしい。


 ヴェイロンと第三騎士団の連中は、あれで結構気が合うようだ。

 酒の力によって建前も格好付けも消し飛んでいるせいか、ヴェイロンも百人長殿も真っ向から罵詈雑言を浴びせ合ってはいるが、声は笑っているし、何より楽しそうである。


 今の境遇はどうあれ、彼らはあくまで騎士であり、戦士である。

 武を生業とし、戦場で戦果を枕に戦鬨いくさどきを謳う荒くれ者だ。

 元がベッドの上で死ぬことを拒む連中なのだ、例え遊興とはいえ、白黒つく勝負事に身を投じている瞬間こそが、まさに本懐を遂げられる僅かな時間なのかもしれない。


 魔は衰え、戦火は遠退き、天下に泰平が布かれたこの時代。

 今や、騎士も勇者も前線には逆に仕事が無くなり、糊口を凌ぐ為、僅かな仕事と、無いにも等しい士官の可能性に縋って、戦場から離れ、都市部へと舞い戻らざるを得ない。


 最早、戦場を駆けるしか能の無かった連中の居場所は、こんな場末の酒場くらいにしか、無いのかもしれない。


 などと、私が「我ながら辛気臭いな」と自嘲の笑みを浮かべていたところ。


「やや! こちらにおられましたか、勇者殿!!」

「おおうっ!?」

 

 先ほどの百人長殿宜しく、突然、何者かが私の背を叩いてきた。

 人が黄昏たそがれている最中に一体何者かと、若干憤慨しつつ振り返ると……思わず、私は目を見開いた。

 

 そこにいたのは、目の覚めるような美人であった。

 

 ぱっちりと開いた蒼い釣り目に、ふんわりとした金髪のショートカット。

 さらに、すらりとした長身と、抜けるような白い肌。人懐こそうな笑み。

 此処が貸切の酒場でなかったら、私は真っ先に美人局か何かを疑ったことだろう。

 

 しかし、幸いにも此処は第三騎士団の仕切る打ち上げ会場である。

 この場でこんな風に話しかけてくるのだから、何処かで知り合った第三騎士団縁の誰かなのであろう。

 詰め所の受付のねーちゃんか誰かであろうか?


 だが、生憎と私の方はまるで覚えがない。

 

 これほどの美人に覚えがないというのはまこと申し訳ない話であるが……覚えてないものは覚えていないのだからしょうがない。


「申し訳ないが、何処かで会ったであろうか?」

 

 早々に思い出す努力を放棄した私は、さっさとそう尋ねる事にした。

 酒の席での社交辞令が面倒だったという都合もある。

 私だって酒くらい気持ちよく飲みたい。

 そんな私の横着交じりの不躾に、むしろ美人さんはその長身を折り曲げ、腹を抱えて呵々大笑して。


「こちらこそ失礼! 確かに、いつもの兜をつけていなければ、わからないのも無理はありませんね!」


 そう、肩を竦めて、美人さんは含み笑いを漏らした。

 その所作すら、愛嬌に溢れ、見るものを引き付ける。


 ……ん? いや、待て…………だと? 

 そういえば、この声色、よーく聞いてみれば……。


「まさか、ランティス氏であるのか!?」

「ご名答!」

 

 何という事か。


 兜でくぐもっていたせいでてっきり青年相応の声と思っていたのだが、単純に元がオクターブの高い女声であったとは。

 男装の麗人なんて、本当にいるものなのだな……と思った私だったが、胸元をみてみると、別に膨らんでいない。

 というか、あんなに高い声なのに喉仏も一応でている。

 なんというか、顔だけは女性で、あとは男性性を示すパーツが主である。

 ……これは、どういうことであろうか?


「そ、その、ランティス氏……」

「思ったより、男らしくない顔してるでしょう、僕」

「え、あ……」

 

 言い当てられてしまった。

 正確には微妙に言いたい事と違うのだが、まぁ、この際、些事である。


 大筋だけで言えば、全くその通りであった。

 口ぶりから察するに、やはりランティス氏は男性であるようだが……顔の方は、とてもそうとは思えない。

 

 似たような性別不詳存在であるクリスは男女どちらともつかない子供っぽい顔なのだが、ランティス氏はまるで違う。

 もう、ほぼ女の顔である。

 体だけしっかり男で、顔はまるっきり女性のそれだ。

 服だけ着せ替えて胸に詰め物でもすれば、誰もが女と疑わないだろう。

 その上、美人である。


 とはいえ、問われた以上、ずっと黙っているわけにもいかない。

 図星を言い当てられた後では何とも間抜けではあるが。


「ま、まぁ、なんというか……確かに、想像とはちょっと異なってはいるな……」


 とりあえず、濁した返事を返しておく。

 我ながら姑息である。


 兜でこの顔を隠すのは素直に勿体無いと思うが……ハーフヌードのスケッチまで晒している事を思い出して、納得する。

 顔を見せての痴態は王家の紋章を背負っている白騎士にとって、許されることではない。

 また、ここまで女顔だと逆に女子にドン引かれる可能性もあるわけで、他の白騎士達の事を鑑みても、やはり舞台では皆揃って兜をつけるのが無難であろう。


 そのような推論を脳裏に浮かべながら、つい爪先から頭の上までじろじろとランティス氏を見てしまったが、ランティス氏はそんな私の態度に気を悪くした様子もなく、むしろ、人懐こい顔で気安く笑ってから、いつものように大仰な身振り手振りを交えて、口を開いた。


「これまた失礼! 僕の愛するファンである勇者殿からすれば……愛する僕が思ったよりも女々しい顔立ちをしていることは、確かに残念なことかもしれませんね!」


 突然何言ってんだコイツ。


 って、そうか、彼の中だとあくまで私とヴェイロンは限定スケッチを買いに来て誤認逮捕された熱狂的ファンであり、取り調べの態度が悪かったばかりに不敬罪を言い渡されたという体に見えているのだったな……何とも七面倒くさい。


 しかし、私がその発言に対して反応を示す間も無く、ランティス氏はいつも通りの様子で言葉を続け。


「ですが、この顔ばかりは両親より賜った大事な財産! 掛替えのない僕の誇りであり、宝です! 故にどうか、愛嬌と思って御容赦頂けるとありがたいです!」


 これまた大仰に、むしろ胸を張って、満面の笑みを浮かべた。


 それすらも、己であると。

 例え不興を買おうと、己は偽れないと。

 それこそ、いつも通りに。

 路地裏で初めて出会った時と、同じように。

 

 それを恥じるわけでもなく。

 それを厭うわけでもなく。

 ただ、堂々と。


 全くもって……ブレない御仁である。

 その言葉に、つい私も表情を緩めて、笑みを浮かべ。


「いや、むしろ以前よりも好きになった。先程は私こそ、無意識とはいえ、不躾な態度を取ってすまなかった」

 

 そう、頭を下げた。

 下げるに値する男だと思った。

 そうしたいと、思わせる男だった。


 顔を隠して尚、白騎士が女性に人気を博している理由がわかる。


 何故なら、その態度には曇りがない。

 それどころか、自嘲や、媚びすらも。

 ただ、清廉潔白なのだ。

 その表裏のない態度と立ち居振る舞いは、顔を隠しているという不足を補って余りある魅力を持っている。

 

 直向きさは、それだけでも人の心を解きほぐす。

 それが無自覚であるのならば、尚更に。

 

 故に、私も謝意を示した。

 その無自覚に、せめて輪郭を与える為に。

 

 だが、しかし。


「はははは、勇者様がそう仰るのなら、この場は互いに御相子という事で納めましょう!」

 

 ランティス氏はその謝意すら、等分したうえ。


「元はと言えば、先に僕が勇者殿の期待を裏切ったのが悪いのですからね!」


 なんと、先に悪を成したのは自分であると断じてしまった。

 

 期待というか……いや、期待は期待であるのか。

 少なくとも、私は兜の下には年相応の男性の顔があるというか……ぶっちゃけ、兜で隠すくらいなんだから、不細工もありえるんじゃないのか? くらいに思っていた。

 そういった身勝手且つ斜に構えた想像をした上で、意外な顔を表したランティス氏に私がしたことは……ただの不躾であった。

 それは、間違いなく、私の罪である。

 故に、ある意味で言えば、その源流となった身勝手な期待も……罪であると言えば、そうとも言えるのだろう。

 

 だが、ランティス氏は、その期待に応えられなかった己にもまた、同じか、それ以上の罪があると、その身に断じてしまうのかもしれない。

 どんな形であれ、民に願われ、期待され、その上で応えられなかったのなら……それは、彼にとっては恐らく……罪としか認識できないのだ。

 何故なら、誰もに求められる騎士像とは、そういうものであるのだから。

 

「ランティス氏は、凄いのだな」


 自然、口から、そんな言葉が毀れていた。

 それこそ、思ったままを、そのまま口にだしただけだ。

 そんな言葉にすら、ランティス氏は。


「? 今の一連の会話でそう思われる理由はわかりませんが、そう言って頂けるのなら、幸いです! そう思われるように常日頃、努力は怠っていないつもりですから!」


 理が分からずとも即座に、笑顔で模範解答を返してきた。

 変にへりくだるでもなく、逆に相手に賛辞を返して濁すでもなく。

 宛ら、それこそが王立士官学校での訓練の証であると示すかのように。


 なるほど……これは確かに、騎士だ。

 物語の中に現れる、白馬の騎士だ。


「……そういうところが、全部であるよ」


 微かに、伏目がちに顔を伏せて、私はランティス氏にそう答えた。

 そう答える他、なかった。


 温室育ちと言えば聞こえは悪いが、それは言い換えれば、不純物抜きで純粋培養された完品という事でもある。

 即ち、彼はそれなのだ。

 彼は、温室で大事に育まれてきた、不朽の理想で出来上がっている。


 現実の戦場に出れば、理想だなんて綺麗事ばかり言ってはいられない。

 それこそ、血で血を洗う地獄の最前線ともなれば、かつての第三騎士団のように騎士道どころか人道にまで唾吐き、踏み躙らなければ、生き残れない。

 そうやって人は徐々に擦り切れ、疲弊し、夢と理想を忘れていく。

 

 だが、そんな泥臭い現実は、白騎士には必要ない。

 市民が敬愛し、憧憬し……そして崇拝する騎士には、そんな穢れは必要ない。

 そも、戦闘能力を……暴力を有する必要がない。

 今必要とされているのは、清廉潔白な張りぼての騎士で十分なのだ。

 王都に駐屯しているような騎士にとって、戦場は最早最前線ではない。

 この泰平の世こそが、戦場なのだ。

 ここで必要なものは、武勇でも、畏怖でもない。

 ひたすらの潔白と、無垢である。


 そういう意味で言えば、それこそ、ヴェイロンや百人長殿のような騎士はただの時代遅れで……彼らのような白騎士こそが、次世代の戦いに身を投じる真の戦士であると、言えるのかもしれない。

 

 などと、私が一人で納得していたところ。


「ところで、勇者殿! 今、御時間よろしいでしょうか!」


 突如、彼はそんな事を言ってきた。

 いや、そりゃ、まぁ、私は勇者……即ち、無職なのだから。 


「時間なら、有り余っているが」


 そう答える他、ないのだが。

 実際、今日だってこの打ち上げが終わったら、もう予定など何もない。

 帰って寝るだけだ。

 故に、「なんか作業でも頼まれるのかな」と思いつつも、気安くそう答えたワケであったのだが。


「それは良かった! なら もし、よろしければ……」


 ランティス氏から返ってきた言葉は。

 そんな私の予想を。


「少し、僕とお話をしませんか?」

 

 ほんの少しばかり、裏切るものであった。

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