第3話

 というわけで畑。

 隣町の、どこまでも続くようなとうもろこし畑の前に、僕たちは立っていた。

 今までなら、お祭りのとき、そこの子供たちとおいかけっこに使ったそこは、僕たちがどうなっても知らないよ、というみたいに前見たときそのままだった。


「え~では、お手本を見せましょう」


 毒なめくじ先生が、大きく体を反らした。

 お腹から、紫色の発光が口に昇っていく。


「ふわああああ!」


 猛毒の雨にご注意ください。

 口から噴き出したそれは、軽く10ヨートルの範囲のとうもろこしをでろでろにとかした。


「すげええ!」


「はやくやりたい!」


「慌てない慌てない。いいですか、先生はこういうことができますが、そうでない子は自分のペースでやっていきましょう」


「はーい」


 皆、喜々としてとうもろこし畑を荒らしていく。

 あんなに遊んだとうもろこし畑を。


「どうしたのお兄ちゃん?」


 こっちのセリフだよミド。

 どうしてできるんだい?

 モンスターになったのは仕方ないよ、もどれないもん。

 けどさあ。

 やっぱりさあ、嫌じゃない。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る