第23話
「こうかな?」
「あ、向きが逆ですよ」
参ったな、左足が逆向きだよ。
「じゃあ切って繋ぎなおそう」
「すごいこと言いますね」
木の義手義足の方が繋がりやすくて驚いたよ。後付けって便利。ボクはとれかけの足から目を離し、指を傷口につなぎ合わせながら3姉妹に話しかけた。
ちなみに名前は年長順にそれぞれ、パマ・ファスナー、ミレ・ココパ、ヤン・サイパネン。モンスターの氏名制度はどうなってるんですかね?
「それで、何の用?」
「その口の利き方はなんだこら」
「敬語がつかえないんですか~?」
「え~君たちにそんなの使いたくないなー」
体が、いや、上半身だけが後ろに倒れる。起きてみると、お腹のあたりで真っ二つだ。物別れとは物悲しい。
「おっと、急に動かないでくれよ?」
フジコさんが足を元につなぎ合わせボクを拾い上げようとしてくれた。なのに、ヤンがボクを持ち上げる。ああなんて堅い手なんだろうか。
目の前に、パマの顔がそびえたつ。
「身の程をおわかり?」
「はい、ですから離してくれません? 消えますから」
パマは角を掴むと、一気に引き抜いた。結構気に入ってたのに。根元に肉がくっついてるよ。あ、踏み砕いたね。
「大人しくなさい」
それが合図になって、3人は去っていく。ヤンパが乱暴に傷口の上においてくれたことだけは良かったかな? 角は……だめだこりゃ。
「大丈夫かい?」
「ええ、ミドたちと会った時が怖いですねえ」
絶対喧嘩になるよなあ。こっちが不利だぞ見た限り。
「心配ないぞい」
「あ、ジャコウ師団長」
にやにや笑いながらボクを見ながら周りを回る。
「いるんなら助けてくださいよお」
「無茶言わんで、わっしはそんなに偉くないのよ」
「酷い話だね」
ボクは立ち上がり、体の調子を見てみる。よし、くっついたね。それにしても一難去ってまた一難、心休まるときはなさそうだ。
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