第18話

 森の中のボクたちであります。目下、攻撃対象の村を偵察中。前の村よりは小規模だけど、さてさて。


「な、なあ」


「ん?」


「オレも……その……配合してほしいんだけど」


「う~ん、今はちょっと……」


 オネスががくりと肩を落とす。ねずみの肩は分かりづらい。羨ましそうに眺める先にいるのは、ジャイアだ。


「うほっほっほほ!」


 何をしてるかって?

 まずエスパが魔法でモンスターを呼び込みます。来たモンスターをミドとエスパが半殺しにします。ジャイアがとどめをさして効率よくレベルアップ。

 配合の弱点を解消するために考えた方法だけど、上手くいってる。もう配合前よりジャイアは強くなってるだろう。

 肉弾戦向きの『ボクサーゴリラ』。カラフルなグローブとパンツ、シューズを履いてる2足歩行のゴリラだ。破壊力とスピードがあり、切り込み隊長にうってつけ。


「う~お兄ちゃん! あたしもして!」


「わたしが先よ!」


「ジャイアが十分強くなったらね」


 正直、すぐにでも二人、できればエスパもオネスもボクも配合してもらいたい。それくらい、あの勇者たちは圧倒的だ。けど、今は目の前に集中しないと。


「それで、どうするの?」


「一気に決めたいですね。まずミドが空襲して、地上をトモナミとジャイアで攻撃。残りで援護でどうでしょう?」


「ミドちゃんで十分じゃないの?」


「できれば損害を少なめにしたいんだ」


 この場合は街の損害だ。さっきの村も、ボクたちの故郷を思い出してみても、襲撃の時建物はそれほど破壊されなかった。後で転用するためだ。

 焼野原は、よくないと思う。


「よっしゃ! 絶好調!」


 終わったみたいだ。

 ジャイアが得意げに両手を上げる。


「どうです?」


「うん、ここらへんで戦うには十分だね」


 フジコさんの手にかかれば、状態がすぐにわかる。

 ふと、あの勇者たちはどれくらいか頭をよぎった。


「あの?」


「! あ、ごめん、じゃあ作戦を言うね」


 気が散っているのは、ボクのほうかも。

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