第17話
「……話は分かったが……」
納得はできない。この魔王軍の指揮をとってる、くろまどうのおじさんの目はそう物語っていた。
それはそうだよね、フジコさんは、人間の軍にモンスターが協力しますって言ってきたようなものだし。
「フジコさんを招けば、魔王軍の強化が見込めますよ」
「そうすればあの勇者たちがやられる可能性も高くなるしね」
「むう……」
悩むよなあ。
つまるところ、モンスターも人間も味方っていうのは『信用できる』相手の事だ。志、損得、情勢、それら複雑な要素で成り立つ。決して本で見たまんまを言ってるわけじゃないよ?
「フジコオオオ! 配合しろおおお!」
「素体は持ってきたぞこらあああ!」
ミドとトモナミが、瀕死のモンスターの山を抱えて飛び込んできた。遅れてエスパたち。あ~魔王軍の人……モンスターたちが完全に怯えてるよもう。
配合してもらいたくてたまらないらしい。もう少し状況を考えてもらえないかなあ。
「ちょっと」
「わ、私じゃ抑えられませんよ」
「あたしが先よおおおおお!」
「わたしだああああああああああ!」
「いい加減にしろ!」
ボクより先にくろまどうさんが怒った。流石に一同、年長者の迫力に押されて黙り込む。
座って、飲み物を啜って長く息を吐く。
「……わかった、じゃあ証拠を見せてくれ」
「と、いいますと?」
「この先に村がある、そこを君達で落としてもらいたい。そうすれば、配下として迎え入れよう」
ふむ、損得できたね。
味方なら、利益になることをしてみろって課題だ。さて……。
「よっしゃ! じゃあ配合しよう!」
「わたしが先!」
……こいつらは。
「あたしだ!」
「どうにかできない?」
「……ジャイア、いいかな?」
「あ?」
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