第7話

「うふふ、醜い物体がいますね」


「んだとゴラ!」


「受精できねー体にすっぞアマ!」


「君達言葉悪すぎじゃない?」


 これがモンスター化の影響だといいなあと僕は願った。


「ゾンビ。あなたにふさわしい格好ですね」


「ありがとう」


「ほ、褒めたんじゃないわ!」


「……皮肉だよ」


 隣町、いや僕が知ってる限り一番のお金持ち、ミーマ商会の一人娘パエスだ。

 嫌な子だ、お金持ちで家名があるのを鼻にかけてるし、性格も最悪。隣町に行くことは多くないけど、会えば必ず僕をいじめる。下手すればジャイアたちよりも苦手だ。ミドもトモナミも嫌ってる。

 変わったモンスターはピクシー。羽としっぽ、金髪の巻き毛からは角が生えててドレスに手袋までついてる。人間の時の面影が随分残ってるのはどうしてだろう?僕も腐ってるのを除けばその部類には入るけど……。


「あら、あなたたちはずいぶん可愛らしい姿だこと」


「喧嘩売ってるなら買うわよ」


「その羽はよく燃えそう」


「どうどう」


 パエスはわざとらしく咳払いし、高慢そうに顎をあげて僕を見下ろす。

 よく考えると僕は今、村一番のチビだ。


「こ、こんな人たちといると肩身が狭いでしょう? わたしのしもべにしてあげても―」


「は? やだよ」


「え」


 何言いだすんだろう。きっと僕を毎日いじめて憂さを晴らす気だな。どこまでも嫌な子だ。


「君と一緒になんかいたくないよ。怖いこと言わないで」


「……え? え?」


 冷たい言い方だけど、これが本心だから仕方ないよね。変に気を遣うのも嫌だし。けど、君達二人はどうして笑ってるのかな?

 パエスは真っ赤になって震えてる。それほど、僕をいじめたかったのか。やっぱり嫌な子だ。


「あ、今度から君達一緒に教えるからね」


 僕は毒なめくじ先生の言葉に耳を疑った。


「い、一緒にって……隣町のみんなと?」


「そう、手間が省けるし」


 僕は見た。パエスが強く拳を握るのを。涙まで流して、そんなにうれしいか。

 今日も僕は不幸続き、人間性に苦悩し意地悪な女の子と毎日会わなくちゃいけないし。また目玉がもげて落ちちゃったりする。


 

 

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