第20話

 村を占拠した後、皆でくろまどうさんのところまで戻って報告した。半信半疑だったくろまどうさんも、部下のモンスターを送って驚いたように伝令に指令をし、ボクたちは待機するように命じられた。

 料理と寝床を前に、よくよく考えると故郷から初めての休憩を満喫しようということになった。


「キミは人肉腐肉ばかりを食べるわけじゃないんだね」


「『あばれやけうし』が混じってるからかもしれません」


「よく食べるねジャイア」


「腹すげえ減ってんだ」


「力が上がった分、消費も激しいんでしょうね」


「ボンキュッボンのナイスバディに……」


「けど小さい子が好きだったら……」


 2人は意識から外しておきましょう。

 食事がすむと、皆一様にいびきをかいて眠り始めた、さすがに疲れてるんだろう。ゾンビは本当は眠る必要がないんだけど、人間のころを忘れないように横になるようにしてる。

 けど、今はボクはフジコさんと今後について話し合いだ。


「じゃあ、皆配合を?」


「はい、できれば複数回。ジャイアのパワーアップを見ると、ミドとトモナミは相当伸びしろがありますよ。勇者を倒すんなら……」


「ふむ。キミの村の勇者は相当だったし、ボクに至っては力が知れない……」


 勇者の情報も欲しい、どんな戦法か? 得意技は? 逆に弱点は? 敵を知っていればいるほど、対策ができるけど―


「入るぞ」


 くろまどうさんの声。

 一人じゃない、大柄なくろまどうさんと比較しても半分もない小さな影がそばに立っていた。妙にくろまどうさんの顔が苦々しい。

 

「この子たちかの?」


 ひょこひょこと中に入ってきたのは、小さなピエロだった。リボンと声から見て、女の子?


「本部に確認したところ、君たちの確認が取れた」


 きわめて不本意そうに、咳をする。


「これからは、妖魔軍所属兵としてジャコウ師団長の指揮下に入る」


 『よろしくね』というように手を振るところを見ると、このピエロさんがジャコウ師団長だね。


「出発は明日朝。準備しておいてくれ」


「まったのう」


 2人は出ていき、ボクたちが残る。

 『妖魔軍』『どこかへ出発』『師団長』、新しいワードのオンパレードだね。さりとて説明は無し、意味するのは警戒か軽視かそれ以外か……。

 

「どうする?」


「……寝ましょうか」


 横になりながら考えればいい、少なくとも害することはなさそうだし。フジコさんにも休息は必要だ。


「じゃ、早速……」


「一人で寝なさい」


 ちぇっ、イケず。

 

 

 





 

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